これから何年も長く仕事をしていくことを考えるなら、できるだけ自分にとってストレスにならない働き方をしたいと感じるのも不思議ではありません。特に「何度も転職を繰り返している」「今の職場が辛くて辞めたい」など、仕事に対する不安が大きい時には、なるべくストレス感を避けて働きたいと思ってしまうのも無理はないでしょう。とはいえ現実的にいえば、誰もが精神的に楽だと思える仕事を探すのは難しく、どのような職場でも少なからずストレスはあるもの。ただし仕事の選び方次第では、ストレス感を最小限に抑えながら働くことができる可能性もあります。そこで今回は、比較的ストレス感の少ないおすすめの仕事をはじめ、負担になりにくい職場を選ぶポイントなどを解説していきます。
完全にストレス感ゼロの楽な仕事はない
一般的に見て、精神的にも身体的にも負担になりにくく、比較的ストレスが少ないといわれる仕事もあるにはあります。だからといって、いずれも楽をして稼げるわけではなく、ある一定の側面から見れば人によってはストレスフルに感じる可能性も。誰がやってもストレスにならないような仕事はないので、大前提として、自分にとって相性のいい仕事を選ぶのがベストです。今までの経験を振り返りながら、どのような場面や出来事で負の感情が湧いたり仕事を辞めたくなったりしたのか、まずは整理してみることをおすすめします。
まずは自分自身がどこにストレスを感じやすいのか見極めることが大切
前述にもあるように、どのようなことがストレスになりやすいのか、まずは十分に見極めることで自分にとって負担になりにくい仕事を選びやすくなります。では実際に、仕事上でストレスになりやすい要素として、よくある具体例から見ていきましょう。
拘束時間の長さや体力的な労働
休憩はあるものの職場にいる時間が長かったり、力仕事が多かったりすると、身体的な負担からストレスをため込んでしまうことも。また過剰な業務量で残業が増えやすい仕事でも、大きなストレスを感じるケースが多々見られます。例えば飲食・運輸・介護などの業界は、比較的強いスタミナが求められやすく、体力勝負になりやすい一面もあります。また特定の業界や職種でなくても、配属先の人員が少ないなど、人手が足りていなさそうな職場では業務過多になりやすく注意が必要です。
複雑な人間関係
職場内をはじめ、顧客や取引先など、さまざまな人に関わる仕事では、人間関係が複雑になりやすい一面があります。例えば接客・販売・サービス・営業・介護などの仕事は、対人業務が多く、人と接するのが苦手だと大きなストレスを感じてしまう可能性も。また勤務先自体の社風が合わないと、職場内の人間関係に悩んでしまうケースもあります。あらかじめ入社前には、新たな職場の雰囲気や組織風土など、十分に調べておくのがベストです。
ノルマや成果に対するプレッシャー
ノルマの達成や個人の成果を重視されやすい仕事では、自分の実力次第でやり遂げなければならないプレッシャーから、精神的な負担になりやすい傾向が見られます。例えば営業・テレアポ・販売など、数値目標を立てやすい職種では、ノルマが設定されやすい一面も。またインセンティブ比率が高い報酬形態の場合、個人の成果次第で収入が変動しやすく、なかなか給与が安定しない部分にストレスを感じるケースもあります。
マルチタスク
例えば問い合わせ対応などの突発的な業務が多かったり、細かな処理を幅広く担当したりする仕事では、さまざまな作業を同時並行で進めていくマルチタスクになりやすい部分があります。優先順位を考えて、その都度頭を切り換えながら対応する必要があり、一つの作業に集中しづらい点にストレスを感じてしまうことも。差し込み作業の多い営業事務をはじめ、人事・総務・秘書など、サポート業務や管理部門に近い仕事ではマルチタスクになりやすい一面もあります。
精神的な負担を避けやすい仕事の傾向
ではここまでに見てきたような、ストレス感につながる要素を避けやすい仕事には、具体的にどのような特徴があるのか簡単にまとめていきます。
自分のペースで黙々と業務を進められる
先ほども出てきたような人間関係やマルチタスクを避けやすいのは、自分一人で作業が完結できる仕事です。もちろんどのような仕事にも多少のコミュニケーションや融通は必要ですが、周りに左右されにくい業務なら自分のペースで進めやすく、比較的ストレス感も少ない傾向にあります。例えば、各自に案件やプロジェクトなどが振り分けられ、個々の決められた担当範囲を遂行するような業務がおすすめ。具体例としては、システム・アプリ・Webサイトなどの制作や、商品の製造といった作業に携わる仕事が挙げられます。
ルーティンワークが多い
常に決まった作業をコツコツとこなしていく仕事も、担当する業務としては複雑になりにくく、シンプルに進めやすいため比較的ストレス感は少ないといえます。こうしたルーティンワークも、個人単位で担当するケースが多く、一人で黙々と進めて完結できる業務と似たような部分も。また同じ作業を繰り返していくため、慣れてきてコツをつかめると、自分なりのやり方でスムーズに進めやすくなる一面もあります。
顧客の要求に左右されにくい
顧客との直接的な関わり合いが少ない業務では、難しい要求に対応しなければならない場面もさほど多くはないため、ストレスを感じにくい傾向にあります。顧客に近いポジションの仕事では、例えば急ぎやイレギュラーなど、多少無理のある依頼にも柔軟に応じなければならないことも多々出てきます。一方で社内業務が中心となるバックオフィスなどの仕事なら、顧客の意向に左右されにくく、自社でうまく調整しながら進めやすい傾向にあります。
数字に追われない
前述のようなノルマや数値目標などの数字を追う仕事では、達成するにはどうすべきなのか、常に緊張感を持って業務を遂行していくことになります。こうしたプレッシャー感は大きな負担にもなりやすく、できるだけ避けたほうがストレス感は抑えやすいでしょう。成果ベースというよりは、社内の業務や商品・サービスの流通の過程などに携わる、作業をするプロセス自体を重視される仕事だとストレス感は少ないといえます。
比較的ストレスの少ない仕事10選
では実際に前述にあるような、ストレス感が少ない仕事の特徴に当てはまる、具体的な職種例をご紹介していきます。
事務職
事務職は、先ほども出てきたような、顧客に左右されづらいバックオフィスに携わることが多い職種です。担当業務も、例えば資料・書類作成やデータ入力など、一人で黙々と進める作業が中心になりやすい一面もあります。また経理事務などの業務では、帳簿付けをはじめとしたルーティンワークも多く、コツコツと処理していくのを好む場合にもおすすめ。ただし営業や製造などの現場をサポートする事務職では、差し込み作業が入ったり、業務が多岐にわたりやすかったりする部分もあります。
製造職
例えば生産ラインで部品を組み立てたり、機械を操作して製品を成形したりなど、製造職も特定の作業をコツコツと進めることが多い仕事です。生産過程を担ったり一つのモノを作り上げたりなど、人と接することも少なく、自分一人で黙々を作業に集中しやすい一面があります。もちろん周りの仲間とのコミュニケーションは必要ですが、対人業務は比較的少ないでしょう。また手作業によって加工具合を微調整するなど、なかには職人的な要素が強い製造職もあり、ルーティンワークだけでは物足りない場合におすすめです。
ビルメンテナンス
ビルメンテナンスは、オフィスビル・マンション・公共施設などの建物維持に関わる仕事です。そのなかでも職種としてはさまざまな種類がありますが、例えば設備の点検・保守や清掃など、いずれも決まった作業をコツコツと進める業務が中心となります。一定のスケジュールなどに沿って処理していくルーティンワークが多く、また接客のような要素も少ないため、比較的ストレス感を抑えやすい業種です。
倉庫作業
運搬されてきた荷物を片付けたり、出荷に向けて商品を準備したり、倉庫作業もシンプルに業務を進めやすい仕事です。場合によっては力仕事があるケースもありますが、基本的に業務自体にはさほど複雑さはなく、成果に向けたプレッシャー感なども少ないでしょう。また何名かのチームで作業を片付けることもありますが、きちんと業務上の連携ができれば、人間関係の悩みなども生じにくいといえます。ちなみに物流業界は比較的需要が高く、ビジネスとしての安定性の面でも、ストレスになりにくいのが特徴です。
社内SE
社内SEは、基本的に自社向けのシステム開発や保守・運用などを担うので、顧客の要求に左右されにくい仕事です。担当するのは社内案件のため、クライアントからの依頼ではない分、納期などの調整もしやすくプレッシャー感も少ないといえます。またエンジニアなので、技術的な作業を黙々と進めることが多く、自分の専門分野に専念しやすいのもストレスになりにくいポイントです。
Webライター
Webライターは、さまざまなサイトなどで公開する記事やコンテンツを制作する仕事で、基本的には一人で黙々と執筆する作業が中心となります。クライアントからの要望や納期などに合わせて各案件を進める必要はありますが、自分のペースで作業を進めやすく、比較的自由度も高く働きやすいのが特徴。顧客対応やチーム連携などの要素も少ないので、ストレス感も抑えやすい仕事です。
Webデザイナー
Webデザイナーも、前述のライターと似たような部分が多く、ホームページなどの制作業務に集中しやすい技術職です。専門性の高いスキルは求められますが、各案件に対応できるノウハウが習得できれば、一人でコツコツと進めやすい特徴があります。Webライターと同じく、比較的ストレス感も少ない仕事です。
ルート営業
ルート営業は、営業のなかでも既存顧客に対応する職種で、定期案件の受注や商品の相談などに応じる業務が中心となります。おもに既存顧客との関係性を維持・強化する役割があり、厳しいノルマなどにも比較的追われにくいのが特徴。すでに取引のある顧客相手となるので、案件も獲得しやすい一面があります。「人と接するのは好きだけれどプレッシャーはあまり感じたくない」などの場合には、ストレス感も少なく働きやすい仕事です。
配送ドライバー
ドライバーは、一人で運転して荷物を運ぶ仕事なので、自分だけで黙々と作業を完結しやすい仕事です。特に近場の配送やいつも決まった場所へ納品するドライバーは、運転する距離も比較的短く、身体的な負担も抑えやすい特徴があります。なるべく体力面でのストレス感も軽減したい場合には、長距離ドライバーよりも、近距離の配送業務のほうが適しています。
施設警備員
決まったルーティンワークを黙々と進めていく警備員のなかでも、特に施設の安全確保に携わる業務がおすすめ。施設警備員であれば、暑さ・寒さや雨などの天候にも左右されづらく、体力面の負担も抑えやすい傾向にあります。また警備員の場合、対人業務もほぼないので、ストレス感も少なめ。ただしシフトによっては夜勤になるケースも多く、夜型でないと、慣れるまで身体的に厳しく感じる可能性もある点には注意が必要です。
まとめ
一般的に見てプレッシャーや負担感が少なくなりやすい職種はありますが、個人の性格や好みなどによって、ストレスを感じにくい仕事は変わってきます。なるべく心身の負担になりにくい仕事を見つけるには、まずはその業務内容と、自分自身との相性を見極めることが欠かせません。そもそも自分にとって、どのような働き方ならストレス感が少ないのか、しっかりと明確にイメージすることからはじめていきましょう。