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退職する前にすべき準備は?仕事を辞める際の注意事項

退職する前にすべき準備は?仕事を辞める際の注意事項

退職を決意した際には、どこかしらの企業に所属している以上、その組織の一員としてさまざまな手続きをする必要があります。また誰かが抜ければ、当然ながら現状よりも人手が足りなくなってしまうので、周りの仲間に負担や迷惑をかけることも少なからずあるでしょう。こうした背景からも、会社を辞める時には、退職までにしっかりと準備を整えておくことが欠かせません。そこで今回は、退職に向けた詳しい手順や注意事項、辞める前に気を付けておきたいポイントなどを解説していきます。

仕事を辞めることが決まった時にやるべき準備リスト

「退職」のイメージ図

先ほども少し出てきたように、退職時には数多くの手続きを踏むことになるため、大前提として何をすべきなのか整理しておくことが大切です。きちんと段階を追って、一つずつ着実に進められるように、まずは退職までに必要な手順から詳しく見ていきましょう。

退職する旨の社内報告

まず自分のなかで退職する意思が固まったら、直属の上司に報告します。最初に直接的に管理している上司に伝えておかないと、例えば周りの人間が先走った行動をしてしまうなど、仲間同士の関係性や業務上のトラブルなどにつながりかねません。また周囲の社員のほうが、先に詳しい事情を知っている状況になってしまうと、その直属の上司のマネジメント不足と評価されてしまう可能性もあります。なるべく同僚・先輩や人事などに伝える前に、直属の上司まで報告しておきましょう。「親しい仲間にはあらかじめ相談したい」などの場合には、必ず内密にしてもらうように根回ししておきます。

なお退職の報告をするタイミングとしては、できれば最終出社予定の2~3ヶ月前、遅くとも1ヶ月前が大まかな目安です。会社側としても、新規人材の採用などの手配を進める必要があるため、急な退職は避けるようにしましょう。

退職日までのスケジュール調整

会社ごとに異なりますが、仕事を辞める正式な意思表示として、退職届などの提出が求められるケースもあります。直属の上司への報告ができたら、社内の規定を確認して、本格的に退職するための手続きに入っていきましょう。こうした退職の申出は、会社を辞める1ヶ月前までを期限としている場合も多くあります。退職を決めた時には、あらかじめ就業規則などをチェックしておき、いつまでに退職を願い出る必要があるのか把握しておきましょう。

また残っている有給休暇がある場合、その残日数を消化して退職となるのが一般的です。その際には、有給休暇の残日数も計算に入れて、最後に出社する日と退職日を設定。最終出社日⇒有休消化⇒退職日という流れも頭に入れて、きちんと自分の担当業務を片付けるまでのスケジュールを組んでいきましょう。

業務の引き継ぎや整理

退職が確定したら、周りの先輩や同僚などにその旨を伝えて、自分の担当している業務の引き継ぎをする必要があります。きちんと引き継ぎをしておかないと、自分の担当業務に対応する人員が欠けたままになり、社内の仕事が滞ったり取引が消滅したりなど数々のトラブルにつながってしまいます。上司や先輩・同僚に相談しながら、誰にどの業務をお願いするのか決めていき、今までの具体的な処理方法や対応などを伝達していきましょう。できれば資料やマニュアルなどで残しておくと、退職後にも困りにくいので、引き継ぎ内容はなるべく目に見える形にしておきます。また何かプロジェクトを抱えている時には、自分の担当範囲が最終出社日までに問題なく終わるように、あらかじめスケジュールなどを調整しておくことも不可欠。残務がどれくらいあるのか整理して、計画的に完結できるように業務を進めていきましょう。

業務の引き継ぎや各プロジェクトなどは、最終出社日の3日前までには完全に終わるようにしておくのがベスト。最終出社日に間に合わない事態を避けるためにも、できるだけ余裕のあるスケジュールを設定しておきます。

取引先への挨拶やお礼

社外でやり取りしている取引先がある場合には、退職に向けた挨拶や、今までお世話になったお礼をするようにしましょう。できれば直接お会いして、退職する旨や新しい担当者の紹介など、きちんとお伝えしておくのがベスト。どうしても難しい時にはメールでご挨拶の連絡をするか、対応できそうなら合わせて電話でお話しするのもいい方法です。なお社外の取引先への退職報告は、最終出社の2~3週間ほど前を目安に済ませていくようにしましょう。

私物や業務用品の片付け

最終出社日が近付いてきたら、社内に私物を持参している場合には、残ったままにならないように持ち帰っておきます。特に荷物が多い時には、何日かに分けて自宅に運んでおくとよいでしょう。またデスク周りなどの業務用品も、最終出社日までにきれいに整理して片付けておきます。もし周りの同僚などに譲ったり引き継いだりする必要がありそうなら、あらかじめ相手に渡せるように準備して、必要な時にいつでも使える状態にしておきましょう。

返却品のチェック

会社で用意された備品や制服・社員証・貸与端末など、各種支給物は退職までに返却するのが原則です。例えば入退室に使用するICカードや、携帯電話・PC・スマートフォンなどの端末は、返却しないとセキュリティ面の大きなトラブルになる可能性も。ちなみに退職する会社で入手した取引先や顧客の名刺も、情報漏えい対策の観点から、返却を求められるのが通常です。「次の職場にも役立ちそう」など、勝手な判断で持ち出すのは絶対にやめましょう。また会社から貸与された端末内のデータは、基本的には無断で削除するのはNG。場合によっては業務妨害に該当する恐れもあるので、社用端末は必ずそのままの状態で返却します。

なお最終出社後に返却し忘れた物品が出てきた時には、郵送などで送付するか、アポを取って自分で届けるなどして、退職した会社に返すようにしましょう。

社会保険関連・税金などの公的手続き

退職時にややこしくなりやすいのが、保険や税金などに関する公的手続きです。基本的に正式な退職が決まった際には、会社から各種手続きの進め方などの案内をされる場合が多いですが、自分自身でも把握しておくとスムーズに対処しやすくなります。では実際の退職時には、どのような公的手続きが発生するのか、それぞれで簡単に見ていきましょう。

<健康保険>
退職する会社で加入している健康保険は、基本的に辞めたのちには使用できません。そのため会社から支給された「健康保険被保険者証」は、返却するのが原則です。なお健康保険に関しては、退職後の状況次第で、次のように必要な手続きが異なります。

[1]退職後すぐに転職先で勤務開始する場合:各企業にて処理がおこなわれるため手続きは不要
[2]退職後から転職先での勤務開始まで一定期間が空く場合:居住地域の国民健康保険に切り換え、または元の健康保険を任意継続
[3]退職後に雇用されない場合(フリーランスなど):居住地域の国民健康保険に切り換え、または元の健康保険を任意継続

[2][3]の場合には、自ら自治体や各保険団体で手続きをする必要があります。必要な書類や届出といった詳しい申請方法は、それぞれのホームページなどを確認してみましょう。

<厚生年金>
年金に関しては特に返却品などはありませんが、健康保険と同じように退職後の状況に応じて、次のような手続きが必要です。

[1]退職後すぐに転職先で勤務開始する場合:各企業にて処理がおこなわれるため手続きは不要
[2]退職後から転職先での勤務開始まで一定期間が空く場合:国民年金に切り換え
[3]退職後に雇用されない場合(フリーランスなど):国民年金に切り換え

ちなみに年金手帳を会社が保管しているケースもあるので、その際には返却してもらうようにします。

<雇用保険>
基本的には、雇用する企業側で手続きをおこなうものです。転職先が決まっている際には、従業員側で何か手続きをする必要はありません。なお新たな職場で雇用保険に加入する時には、退職した会社の雇用保険被保険者証を提出するのが通常です。元の会社で保管していて、退職時に返却された時には、大切に保管しておきましょう。

また次の就職先が決まっておらず、失業保険の申請をしたい場合には、ハローワークでの受給手続きをします。基本的に退職時には元の会社から離職票を受け取るので、それを持参してハローワークにて失業保険の申請をします。

<住民税>
一般的な企業では、従業員の住民税は、給与から天引きして代わりに納税しています(特別徴収)。ただし退職してしまうと給与天引きができなくなるため、個人で支払うか(普通徴収)、次の転職先による特別徴収に切り換える必要があります。

なお会社を辞める時期よって異なりますが、退職時にあらかじめ一括で特別徴収がおこなうか、個人の普通徴収にするかのいずれかで対応します。もしくは転職先が決まっていれば、退職する会社や転職先に異動届出書を作成してもらい、各自治体へ提出して特別徴収の納税元を変更することも可能です。住民税の手続きはややこしくなりやすいので、退職する会社の人事や総務などに相談しながら進めていくことをおすすめします。

<所得税>
所得税に関しては、基本的に企業側で年末調整などの手続きに対応します。そのため所得税関連の手続きも、転職先が決まっていれば、従業員側では発生しないのが通常です。なお所得税の手続きには、退職する会社から発行される源泉徴収票が必要なので、受け取ったら大切に保管して転職先に提出します。

ただし年末調整に間に合わない時期に、転職する場合には、自分で確定申告をしなければなりません。特に11月の終わりごろに仕事を辞めて、新年をまたいで転職するケースでは、年末調整の期限に間に合わないケースもあるので注意が必要です。

退職して後悔しないために気を付けておきたいポイント

「円満退社」のイメージ図

今までに働いてきた会社を辞めることで、よくも悪くも、人生が大きく変わる可能性があります。そんな大切な転機で後悔しないためにも、退職する時には次のようなポイントにも注意しておきましょう。

そもそも仕事を辞めるべきなのか十分に検討する

大前提ではありますが、本当に退職してもいいのか、しっかりと検討しておくことが不可欠。どうしても大きなストレスや悩みなどがあると、衝動的に会社を辞めてしまいたくなる時もあるかもしれませんが、勢いだけで退職するのは避けたほうが無難です。仕事を変えたからといって問題が解決する保証はありませんし、そもそも現職よりいい転職先が見つかるとも限りません。退職を考える際には、今一度自分の置かれている状況を見つめ直してから、冷静な判断のもとで決意を固めるようにしましょう。

転職先は仕事を辞める前に決めておくのがベスト

もちろん退職してから転職活動をするのも一つの方法ではありますが、できれば現職で働きながら、新たな職場を決めるほうが安心です。退職してしまうと、どうしても収入的な不安も大きくなりやすく、その焦りから転職先を吟味できないケースも。仕事を辞めてから急いで転職すると、職場選びが疎かになりやすく、いざ入社してから「前の会社のほうがよかったかも……」など後悔する可能性も高くなります。なるべく時間をかけてじっくり転職先を検討するためにも、退職する前に、次の職場が決まっている状態にしておくとベストでしょう。

円満退社ができるようにしっかりと事前準備をする

退職するからといって、以前の会社との関わりが今後一切なくなるわけではありません。場合によっては、転職先の顧客や協力会社など、次の職場では取引先になる可能性もあります。そのため会社を辞めるにしても、最後まで誠実な対応や姿勢を心がけることも大切。今回見てきたように、周りへの報告や業務の引き継ぎなど、しっかりと準備しておくことで円満退社につながります。お世話になった感謝や、今までの人脈を活用する意味なども込めて、きちんと誠意を持って退職に備えるようにしましょう。

まとめ

会社を辞めるといっても、よほどの事情がなければ、できるなら誰しも気持ちよく退職したいもの。そのためには、今回ご紹介してきたような、退職に向けた着実なステップを踏む必要があります。前述にも出てきたように、新たな企業に転職してからも、退職した職場の人間関係が役立つ可能性も考えられます。今後にもつながるような退職ができるように、今回見てきた手順やポイントも参考に、しっかりと十分な準備をしていきましょう。