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左遷のメリットは?島流しされる人材の特徴を解説

左遷のメリットは?島流しされる人材の特徴を解説

社内の人事異動や配置転換にあたっては、状況次第では自分の望まないような部署や職務に飛ばされる、いわゆる左遷に遭うことがあります。こうした左遷は、経営の中核ポジションから大きく離れてしまうこともあり、場合によっては「島流し」といわれることも。ただし本人としては左遷されたように感じても、会社側の目的は「島流し」とは大きく異なり、配属先での働き方や考え方によっては自身に有利になる可能性もあります。そこで今回は、左遷される際に見られる傾向や、想定されるメリットを解説していきます。

左遷では本人にとって不本意な異動やポジションダウンをともなう

左遷

大前提として左遷とは、一般的には社員本人の想定や希望になく、将来的にも不利に感じられる配置転換を指します。なお左遷の具体的なパターンとしては、次のような例が挙げられます。

  • 業務量や事業への影響度が少ない部署に異動させられる
  • 担当職務を書類・備品整理などの単調な作業のみに変更される
  • 今までの役職やポジションから降格になる
  • 組織・売上などの規模が小さい事業所や関連会社への転勤・出向
  • これまでのキャリアに関係のない部署に配属される
  • 経営幹部など上層部へのキャリアパスがない配属先に変えられる

場合によっては、社員の経験値向上や組織活性化などの目的で実施する、ジョブローテーションの意味で左遷に見えるような人事がおこなわれるケースもあります。しかし明らかに、自分の今後につながりそうな見込みがなければ、あえて立場を低くするような左遷といえるでしょう。

成績優秀でも左遷される?島流しに遭いやすい人の特徴

左遷

左遷の漠然としてイメージとして、戦力から外されるような扱いを受ける印象があるかもしれません。左遷では、不利な立ち位置になるように配置転換がおこなわれるのが一般的ですが、場合によっては高い成果を出していてもその対象になるケースも。では実際に、どのような原因で左遷されやすいのか、よくある事例を見ていきましょう。

大きなミスや重大なトラブルを起こしたことがある

業績悪化や多大な経営損失につながる、大きなミスやトラブルを起こしたことがある場合には、左遷の対象になってしまう可能性があります。例えば、「会社の機密情報や名誉にかかわる内容の漏えい」「経費の不正使用などの規定違反」「他の従業員へのハラスメント行為」など、重大な問題行為が見られたケースです。このような社員本人側に明らかな問題がある際には、懲戒処分の意味で左遷がおこなわれることもあります。また「遅刻や欠勤が多く最低限の出勤ができていない」「業務遂行を怠っていて基本的な職務をこなしていない」など、一定水準に満たないような勤務態度も、左遷の原因になります。会社にとって、不利益をもたらす過去があると、左遷の対象にされやすいでしょう。

現在の処遇や職務が適していない

なかなか会社が求めるような成果を挙げられていない場合には、その社員に対する処遇を見直す目的で、左遷がおこなわれることもあります。例えば、年功序列で社歴に応じて等級が上がるケースでは、なかには実力や成績に見合わない給与・待遇になっているケースも。こうした際に処遇の改正にともなって、左遷のような配置転換がされる可能性も考えられます。また現状で担当している業務内容が適しておらず、思うような成果につながっていないと想定される時にも、適材適所の意味で配置転換がされることも。そこで今までとは畑違いの職務や、本人が望まない部署などへの配属になり、結果的に左遷のような人事になることがあります。

配属先の風土に適していない

同じ会社のなかでも、担当する業務が異なれば、配属先ごとに求められる姿勢や言動なども変わってきます。例えば本人としては意欲があったとしても、配属先によっては、やる気がなかったり自らの役割を果たしていなかったりするように見られるケースも。きちんと成果を出していたとしても、配属先における雰囲気や気質などに合っていないと、場合によっては左遷のような配置転換がおこなわれてしまうケースもあります。

人間関係に問題が生じている

配属先のメンバーとうまく協働できていなかったり、コミュニケーション不足でチームワークにも影響が出ていたりする場合など、能力があっても左遷に遭ってしまうリスクがあります。人間関係に問題が生じている際には、職場環境を変える目的で配置転換をするケースもあり、もし自分自身の周りへの協力が足りていないようなら左遷されてしまうことも。もしくは後輩や部下への接し方が高圧的だったり、上司に対して度を越えて反発していたりするなどの態度が見られると、協調性がないとして左遷されてしまう可能性があります。いくら高い成果を挙げていても、配属先での人間関係を乱すような行為をしてしまうと、左遷の対象にされてしまうことがあります。

正当な理由がなく大きな不利益をもたらす左遷は違法の可能性も

ここまでに見てきたように、本人の問題や適性などの正当な理由がなく、明らかに対象社員に対する不利益を与える目的の左遷は違法になる場合があります。特に、次のような左遷がおこなわれる際には、違法になる可能性が高いでしょう。

  • 上司の個人的な感情や嫌がらせで、本人に非がないにもかかわらず不当な配置転換がされる
  • あえて閑職の部署や職務などに配属して自己退職に追い込む(暗黙の退職勧奨)
  • 配置転換により大幅な減給や厳しい勤務条件に変えられる

上記のような事例は、違法な左遷とみなされる可能性があり、拒否または弁護士に任せて対処できることがあります。なお配置転換にともなって待遇が見直されるケースでは、例えば減給なら「現状の半額以下」などの過度なものでなければ、違法性はないと判断されることも。もし不当な左遷かどうかで悩むようであれば、一度弁護士などの専門家に相談してみるのもよいでしょう。

栄転につながるチャンスも!左遷によって想定されるメリット

配置転換

なかには自分自身にとって左遷のように思えても、場合によっては、会社側としては本人の将来を考慮した配置転換としていることもあります。また左遷のように見えても、本人の適性から判断した異動や人員配置であれば、実際には人材側にとって大きなメリットになりうるケースも。どうしてもマイナスなイメージになりやすい左遷ですが、状況次第では、次のような利点をもたらす可能性もあります。

今までと同じ待遇のまま業務負担が軽減される場合も

たとえ左遷だったとしても、就業規則・雇用契約書における賃金規定や本人の同意がない限り、むやみに各社員の勤務条件を変えるのは法的には難しいのが一般的です。そのため、今までの業務内容やポジションから大きく変わったとしても、給与などの待遇は変動しないケースもあります。業務量や経営への関与が大幅に減る左遷だったとしても、実際には現状の待遇のまま、自身の負担を軽減できる可能性も。その分、自己研鑽に励んだりプライベートを充実させたりなど、時間を有効に使いやすくなる利点に期待できるでしょう。

環境が変わることによりストレスが緩和される

仮に自分自身でも、現在の配属先に対する適性や人間関係などに疑問を感じている場合には、左遷によってそのストレス感を解消できることもあります。左遷だったとしても、いざ実際に新しい職務やポジションで仕事をしてみると、「意外と今のほうが向いている」と思える可能性も。左遷とはいえ、自分の置かれている環境が変わることで、そこから自分の働き方が好転していくケースも考えられます。

幅広い経験を積んで自分の成長につなげられる

左遷のなかでも、例えば今までの経験にない職務に就く場合には、そこから新たなスキルを磨いていける可能性もあります。自分の思うようなキャリアパスには関係ない配属になったとしても、あえて畑違いの仕事の経験を積むことで、自らの視野や価値観を広げられることも。こうして左遷を通じて自分の成長につなげていくことで、実力が認められて、結果的には出世コースに乗ることができるケースも考えられます。

自分なりの成果を出すことでキャリアアップができる

例えば、売上やプロジェクトなどの規模が小さい配属先に左遷されたとしても、自分の実力で成果を出していくことで組織を大きくできる可能性もあるでしょう。反対に考えてみれば、まだ組織としてのスケールが小さいほど、まだまだ今後の伸びしろがあるといえます。左遷先での業績の立て直しや大幅な売上アップなど、目に見えた成果を出すことができれば、社内での評価を高めることが可能。このように左遷をきっかけに、自分自身の本領を発揮して出世できるチャンスもあります。

現状の配属先では目指しにくい役職に就ける可能性もある

「現状の部署や事業所では上が詰まっていて昇格できない」などの場合には、左遷によって全く異なる配属になることで、ポジションアップが目指しやすくなるケースもあります。左遷により配属先の状況が変わることで、自分なりの実力や成果が認められやすくなり、高い評価から役職に就きやすくなるチャンスも考えられます。なかには左遷のように見えても、新たな配属先における管理職の適任がいない状況なら、責任者にできる人材として呼ばれていることも。役職に就かせるために、あえて左遷のような人員配置をしていることもあり、結果的には現状よりも昇格して仕事のレベルも高められる可能性もあります。

まとめ

左遷といっても、実際の人員配置の形態はさまざまで、結果的に配属後どのような状況になるかわからないもの。もちろん社員にとってマイナスになりやすい左遷もあれば、場合によってはプラスになる可能性も考えられます。悪質な左遷がおこなわれる一方で、今回見てきたように、社員側に何かしらのメリットをもたらすケースもあります。左遷されたり、されそうだったりする際には、ぜひ本記事も参考に、自らの現状を整理することからはじめてみましょう。