
これからの経済状況や理想の将来像などを考慮して、定年後も現役で働きたいと考えるケースは珍しくありません。そうした場合に、定年後のキャリアパスとして覚えておきたいのが、再就職や再雇用で仕事を続けていく選択肢です。今回は定年したあとでも仕事ができるパターンとして、再就職と再雇用に注目し、それぞれの働き方やメリット・デメリットなどを解説していきます。
定年後の働き方は再就職と再雇用で異なる

定年後も仕事を続けたい場合には、勤務先の社内制度にもよりますが、再就職や再雇用で働く方法も考えられます。なお再就職も再雇用も同じく、定年後も特定の企業などに雇用されて勤務する労働契約ですが、それぞれで働き方は大きく変わってきます。それではまず、再就職と再雇用の違いについて、簡単に整理してみましょう。
- 再就職:定年を迎えた元の勤務先から転職し、別の企業などにあらためて就職する
- 再雇用:定年を迎えた元の勤務先に在籍したまま、労働契約を新たに締結し直す
再就職では定年後に別の企業へ転職することになりますが、一方で再雇用では元の勤務先もしくは同グループ内で継続して仕事ができる部分で異なります。
ちなみに再雇用については、勤務先の制度として導入されていないと選択できません。定年後の働き方を考えるにあたっては、大前提として、社内の就業規則などを十分に確認しておく必要があります。
そもそも定年になるのは何歳?
法的な規定として、定年の年齢自体は60歳以上とされています。ただし高年齢者雇用安定法では、各企業に対し、65歳までの継続的な勤務を保証する制度の導入が義務化されています。そのため60歳の定年を迎えた際には、勤務先の制度に応じて、以下のようなパターンに分かれるのが基本です。
- そもそも定年制度が65歳になっている⇒65歳までこれまでと同じ労働条件で勤務を継続
- 65歳までの再雇用・勤務延長(※)制度がある⇒60歳より再雇用または勤務延長でそのまま在籍
- 定年制度が廃止されている⇒60歳以降も年齢に関係なく、同じ労働条件で勤務を継続
上記に加えて、各企業には70歳までの就業を保証する制度の導入が努力義務とされており、なかには次のような選択肢が取れるケースもあります。
- 70歳までの再雇用・勤務延長制度がある⇒60歳より再雇用または勤務延長でそのまま在籍
- 70歳までの業務委託契約を締結⇒60歳から元の勤務先の外部委託として仕事を継続
- 勤務先による社会貢献事業に70歳まで従事⇒60歳から社内の社会貢献事業に参画
なおここまでに「勤務延長(※)」とは、60歳以降もこれまでと同じ労働条件で、一定の年齢まで勤務できる制度です。60歳以降から新たに労働契約を結び直す再雇用とは異なり、担当業務や待遇なども含めて、今までと同様の条件で働くことができます。
このように各企業では、一般的な定年となる60歳を迎えたのち、続けて勤務するか社員側で自由に選べる制度を取り入れています。もちろん企業によって、導入している制度はさまざまなので、あらためて就業規則などをチェックしておくとよいでしょう。
定年後も再就職や再雇用で働くメリット
定年後は、ここまでに見てきたような再雇用などの各種社内制度や、自身で新たに転職する再就職で働くことができます。ちなみに65歳以降になると、国民年金と厚生年金の受給ができるので、仕事をしていなくても一定額の収入を得られます(一部65歳未満の厚生年金適用あり)。そのため一つの選択肢として、定年を迎えたら退職して仕事から離れる方法もあります。
とはいえ今後の人生設計などを考えて、定年後も続けて勤務すべきか悩む場合も多いかもしれません。そこでまず定年後も働くメリットとしては、安定した収入を確保できる点で、65歳以降なら年金も同時に受給できます。ちなみに一定の収入額を超えると、受給金額の減額または停止の可能性もありますが、決まった範囲内なら「年金+給与」を受け取ることが可能。さらに65歳以降も勤続して、なおかつ厚生年金にも加入していれば、その後に退職したのちに受給できる年金額を増やすこともできます。このように、経済的な不安を減らせるのは大きな利点でしょう。
また定年後も再就職や再雇用で仕事をしていると、日々の生活にメリハリをつけやすくなる一面もあります。なかには定年退職したものの、今まで働いていた時間を持て余してしまうケースも珍しくありません。もちろん仕事がすべてではありませんが、この先をどう過ごしていきたいのか、定年に向けてあらためて見直してみることをおすすめします。
定年後の再就職や再雇用で注意したいデメリット
定年後も再就職や再雇用で仕事をする際、特に注意したいのが体力面です。年齢を重ねると同時に、体力的な消耗を感じやすくなるのは当然のことで、高齢で仕事を続ける中で心身を疲弊させてしまう可能性も。こうして疲れやストレスなどの負担が蓄積したまま、無理に仕事をしようとしてしまうと、結果的には体調を崩すリスクも想定されます。なおかつ結局は仕事に時間を取られてしまう分、余暇を過ごすゆとりを持てず、老後の生活をうまく楽しめないなどのデメリットもあります。
また定年後の再就職や再雇用では、待遇・役職・担当業務など、今までと同じような条件にはならないケースも多く見られます。場合によっては、給与が大幅に減少したり、仕事内容が大きく変動したりするパターンも。なかには、年下の若手や元部下が上司になることもあり、人間関係が複雑になりやすい一面もあります。
定年後でも65歳以降になれば、年金によって一定の収入源は確保できるため、無理に働かずに生活する方法も考えられます。こうしたメリットやデメリットも考慮しつつ、定年後の仕事はどうすべきか、十分に検討していくことも重要です。
定年後はどちらを選ぶべき?再就職と再雇用それぞれのメリット・デメリット

定年後は、同じ勤務先で継続して働ける再雇用などの制度を活用するか、新たな職場に転職して再就職するか自由に選択できます。もちろんそれぞれには一長一短があり、どちらが自分自身にとって適しているのか、しっかりと見極めて選んでいく必要があります。ではここからは、定年後の再就職と再雇用では、どのような働き方ができるのか詳しく見てみましょう。
再就職する時の働き方
定年後に再就職する際には、自分自身で新たな職場を見つけて、転職活動をしていくことになります。ちなみに定年後の転職活動では、人材紹介会社やハローワークをはじめ、シニア層に特化した求人サイト・転職エージェントなどのサービスを活用できます。
定年後の再就職にあたっては、正社員ではなく、パートや契約社員などの非正規雇用となるケースが多々見られます。実際に厚生労働省の調査(※1)では、65歳以上のパートでの転職入職率としては、男性では14.7%、女性では7.0%との結果が出ています。一方で正規雇用になると、男性では6.3%、女性では4.5%となっており、特に男性では大きな差が出ています。もちろん年齢に関係なく、フルタイムの正社員として雇用しているケースもあります。とはいえ現実的には、フルタイムで勤務できたとしても、非正規雇用になるパターンが多いでしょう。また定年後に再就職を選ぶメリット・デメリットとしては、次のようなものが考えられます。
再就職によるメリット
定年後に再就職する大きな利点として、具体的には次のようなメリットが挙げられます。
- やってみたい仕事に新しくチャレンジできる可能性がある
- 自分の経験を活かしてステップアップできるチャンスも考えられる
- 希望に合った労働条件で勤務できる職場を探せる
定年後に再就職を考えるメリットは、自分自身で自由に仕事を選べる点にあります。新たに転職することで、今までとは異なる業種や職種に挑戦できたり、自らのノウハウをアピールできれば現状よりもレベルアップした仕事に就けたりする可能性も。再就職では、この先の幅広い選択肢を持つことができます。
再就職によるデメリット
定年後の再就職を検討する際には、次のようなデメリットがある部分には注意が必要です。
- 思うような求人が見つからない可能性も高い
- なかなか採用につながらないリスクがある
- 新たな環境や業務内容に順応するのが難しいことも
定年後の再就職では、求人のなかには若手層のキャリア形成に向けて年齢制限をしているケースも多く、そもそも希望するような職場を見つけにくい一面も。またどうしても年齢がネックになると思われることも多々あり、応募はできても採用にならない確率も少なくありません。さらに再就職をして新たな職場に移ることで、人間関係から仕事の仕方まで、大きく変わることになります。うまく馴染めない可能性など、何かしらのリスクがあることも、頭に入れておいたほうがよいでしょう。
再雇用される時の働き方

定年後の再雇用では、現時点で勤務している職場と変わらず在籍できるため、比較的リスクの少ない働き方ができます。
ただし定年後の再雇用制度を利用する際には、労働契約が更新されるので、その後の勤務条件は変動する場合が多く見られます。再雇用でよくあるのが、「正社員から嘱託社員になる」「各種手当などが省略されて給与水準が下がる」などのパターンです。また定年後の再雇用では、他の部門やグループ会社に異動となったり、役職から離れて担当業務が変わったりするケースも多くあります。もちろん今までと同じように仕事ができる可能性もありますが、再雇用になると働き方が大きく異なりやすい一面も。ちなみに企業によっては、定年後も同様の勤務条件で働けるように、勤務延長と呼ばれる制度を取り入れていることもあります。
再雇用によるメリット
定年後も再雇用で働く大きな利点として、次のようなメリットが考えられます。
- 新しく職場を探す必要がない
- 就業できる場が約束されている
- 同じ環境のまま勤続できるためストレス感が少ない
再雇用であれば、すでに働ける場が用意されている状態なので、わざわざ転職活動をしなくても仕事を続けられるのが大きなメリットです。再就職のように、新しい職場が見つからないリスクもないため、安定して勤務できます。また基本的には今までと同様の勤務先に在籍できるため、例えば社内システムなども大きく変わりにくく、戸惑うことなく働きやすい一面もあります。
再雇用によるデメリット
定年後に再雇用で勤続する際には、次のようなデメリットには注意しましょう。
希望の働き方や仕事内容にはならない可能性がある
立場が変わって収入が大幅に下がることもある
人間関係が複雑になるパターンも考えられる
定年後の再雇用では、基本的には勤務先側で決められた条件のもとで働くことになるため、あまり自由度はない部分はデメリットといえます。場合によっては、パートタイムになったり、思うような業務を担当できなかったりするケースも。また再雇用になると、現状の等級や役職からは離れるのが一般的なので、その影響で給与が減額になることも多々あります。さらにこうして立場が変わることで、例えば上下関係が逆転するなどのパターンもあり、社内での人付き合いがしにくくなることも。再雇用を選ぶ時には、このような注意点も考慮しておきましょう。
まとめ
現代では平均寿命も延びていることもあり、定年後も長く先を見据えた人生設計が必要となってきています。こうしたライフプランニングとして、今回ご紹介してきたような、定年後の再就職や再雇用も視野に入れて考えてみるのがおすすめ。また再就職や再雇用だけでなく、定年後の働き方は、まだまだ数多く存在しています。例えば、「独立開業・起業」や「業務委託のフリーランス」など、幅広い選択肢が考えられます。定年後の将来像にお悩みの際には、ぜひ本記事も参考に、再就職や再雇用も含めて検討してみましょう。