
今後の収入アップを考えるにあたり、「年収1,000万円」と聞くと、あまり現実味はないかもしれません。ちなみに日本平均賃金は、月々約34万円(※1)で、年収にすると400万円程度。この平均値を少し超えた「年収600万円」であれば、自分の目標として目指せるように感じる人もいるでしょう。そこで今回は、年収600万円に向けた難易度や、その収入による生活レベルなどを解説していきます。
(※1)厚生労働省「令和7(2025)年賃金構造基本統計調査」
年収600万円はレベルが高い?難易度の目安は?

「年収600万円」といえば、単純計算してみると、月給額にして毎月50万円。もし賞与がある会社であれば、その支給額にもよりますが、月給40万円前後となるのが一般的です。
<賞与を含むよくあるパターン例>
月給43万円+賞与約2ヶ月分(年間84万円)=年収600万円
月給37.5万円+賞与4ヶ月分(年間150万円)=年収600万円
ちなみに厚生労働省の調査によれば、年収600万円を超える世帯は、全体のうち約33%(※2)。ただし共働きなどの世帯も含むため、単身で年収600万円以上となる割合としては、もっと少なくなると考えられます。つまり年収600万円を確保できているのは、実際の比率的には3割に満たない程度で、どちらかといえば狭き門と想定できるでしょう。
また業種によっては、労働者の世代別にしてみると平均賃金40万円以上となるケースも見られますが、データ上では次のような層に限られています。(※3)
- 建設業(50歳~59歳)
- 電気・ガス・ 熱供給・水道業(35歳~59歳)
- 情報通信業(35歳~64歳)
- 卸売業、小売業(50歳~59歳)
- 金融業、保険業(35歳~59歳)
- 不動産業、賃貸業(45歳~59歳)
- 学術研究、専門・技術サービス業(30歳~64歳)★士業系やコンサルなど
- 教育、学習支援業(45歳~69歳)
- 鉱業、採石業、砂利採取業(35歳~59歳)
上記のうち学術研究、専門・技術サービス業は、高度な資格や専門性が求められやすいことから、比較的若年層でも年収600万円近くの平均賃金となっています。その他の業種では、年収600万円に近い平均額は出ているものの、年齢層は高めになっている傾向にあるといえます。
なお、製造業・運輸業・宿泊業・飲食業・サービス業・医療福祉といった業種では、いずれの世代でも月ごとの平均賃金は40万円に満たない結果となっています。
もちろん給与額は、各企業で大きく異なるうえに、ここまでに見てきたものはあくまで平均値です。いわば中央値となるため、上記のようなデータからは大幅に外れる場合も珍しくありません。とはいえ年収600万円を達成する難易度としては、勤務先の企業ごとに違いがあるため一概にはいえないが、決して簡単ではないでしょう。
(※2)厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査」
(※3)厚生労働省「令和7(2025)年賃金構造基本統計調査」
平均年収600万円台の職業一例

ではここからは、厚生労働省による職業情報提供サイト「job tag」のデータをもとに、平均年収600万円台となる職業をピックアップしてご紹介していきます。(※4)
【IT分野】
IT運用・管理(サーバー管理、ネットワーク管理、システム運用)
セキュリティエキスパート、情報セキュリティ技術者、セキュリティエンジニア
ITヘルプデスク
電気通信技術者(ネットワーク基盤の構築)
AIエンジニア
データエンジニア
データサイエンティスト
【営業】
商社、食品、製薬(MR)、ITコンサル、不動産、証券外務員(証券会社営業)、せり人(卸売市場)、広告、印刷
【金融】
為替ディーラー、銀行・信用金庫渉外担当
【建設・土木・インフラ】
設計(建築、土木)
施工管理(建築、土木)
耐震診断
下水道管路施設点検・調査
送電線架線作業員
電気工事士
港湾荷役作業員
【メディア・クリエイティブ系】
コピーライター、翻訳家、記者(新聞、雑誌、放送、テクニカル)、編集者(書籍、雑誌)
【メーカー系】
食品技術者(加工食品の開発、生産管理)
機械設計(機械製品の開発・設計)
精密機器技術者(高精度機器の研究開発、設計)
プラント設計(発電所、廃棄処理場、水処理場など)
【専門職系】
獣医師、高等学校教諭
【メーカー系(専門分野)】
航空機開発エンジニア、宇宙開発技術者、非鉄金属精錬技術者、高分子化学技術者、バイオテクノロジー技術者、原子力技術者、陶磁器技術者、ファインセラミックス製造技術者、分析化学技術者、産業廃棄物処理技術者、作業環境測定士
【第一産業分野】
植物工場の研究開発(野菜などの栽培法補の研究・開発)
農業技術者(農業分野の技術開発)
水産技術者(漁業や水産資源に関する試験研究、技術指導)
林業技術者(林業に関する研究、技術指導)
畜産技術者(繁殖・飼養技術などの開発、農場の経営支援)
年収600万円の手取り額は460万円程度
通常は、求人票や労働条件通知書などで提示される給与額は、社会保険料などの税金が差し引かれる前の金額です。当然ながら、「年収600万円」だからといって丸々支給されるわけではなく、税金が控除されて残った金額を受け取ることになります。ちなみに、実際に自らの手元に入る給与額は「手取り」と呼ばれており、控除前の給与額は「額面」といわれています。なお同じ年収600万円でも、給与の内訳や扶養状況などに応じて異なるため、手取り額には個人ごとに差が出てきます。とはいえ大まかな目安としては、年収600万円であれば、手取りは460万円ほどになるのが一般的です。
年収600万円の生活レベルは?

個々の価値観や住む地域など、人それぞれで求める生活水準やコストには違いがあり、どれくらいの収入が必要なのか世帯によって変わってきます。しかし少なくとも必要となる資金から逆算してみれば、どこにどの程度の費用をかけられるのか、大まかに試算してみることは可能でしょう。そこでここからは、総務省による家計調査のデータをもとに、年収600万円ではどういった生活レベルになるのか見ていきます。(※5)
単身世帯
総務省のリサーチによれば、一人暮らしにかかる諸費用の平均値として、以下のような結果となっています。
食費:4万4,659円
水道光熱費:1万3,333円
家具・家事用品(消耗品など):5,945円
服飾品:4,664円
保健医療:8,690円
交通・通信:1万9,190円
教養娯楽費(旅行代など):2万250円
その他:3万4,611円(うち交際費:1万5,629円)
=合計:15万1,342円
上記は収入に関係なく、単身世帯全体の平均値を統計したもので、家賃を除く固定費としては15万円程度。もし年収600万円・手取り460万円だとするなら、単純に12ヶ月で割ってみると、月ごとの収入は38万円程度です。
そこから前述の平均値となる固定費15万円を差し引いても、23万円は残る計算になります。ちなみに先ほどの固定費には家賃を入れていませんが、仮に賃貸物件で10万円の賃料だったとしても、上記の生活費から考えるなら13万円は余剰となる見込みができます。
なお総務省の調査結果では、年収600万円以上の単身世帯における諸経費の平均値は、以下のとおりとなっています。
食費:6万20円
水道光熱費:1万2,342円
家具・家事用品(消耗品など):7,494円
服飾品:8,668円
保健医療:1万2,749円
交通・通信:3万7,318円
教養娯楽費(旅行代など):4万1,734円
その他:6万3,972円(うち交際費:3万350円)
=合計:24万4,297円
先ほどの平均値に比べると、実際には10万円近く増加し、家賃を除いても約24万円の固定費を使っている様子が見られます。なかでも大幅に跳ね上がっているのは、食費・教養娯楽費・交通・通信費・交通費を含んだその他費用。収入面に余裕がある分、外食や娯楽などに費用を割いていることが予想されます。とはいえ家賃10万円だったとしても、年収600万円なら約4万円は余る計算ができます。
2人以上の世帯
ではここからは、同じく総務省の調査結果のもと、共働きなどの2人以上の世帯となった場合に、生活費としてどの程度の支出になるのか見ていきましょう。
食費:8万9,754円
水道光熱費:2万4,544円
家具・家事用品(消耗品など):1万2,869円
服飾品:9,702円
保健医療:1万5,785円
交通・通信:4万5,562円
教養娯楽費(旅行代など):3万796円
教育費:1万1,936円
その他:5万4,387円(うち交際費:1万6,750円)
=合計:29万5,335円
一人暮らしに比べて世帯人数が増える分、家賃を除く固定費だけでも、約29万円はかかる計算となります。また子育て世帯と考えるなら、先ほどの単身時に比べて、別途教育費も必要です。もし世帯全体の総収入として年収600万円だった場合、月々の平均収入38万円と考えると、あまり余裕はない印象。さらに家賃がかかることを想定するなら、毎月の余剰金はほぼ残らない可能性もあります。
もちろん実際の世帯人数や家庭の状況次第でも変わってくるため、例えば成人同士のパートナー2人であれば、もう少し削れる部分はあるでしょう。年収600万円でも、生活ができないわけではありませんが、浪費には気を付けたい生活レベルといえます。なお生活にかかる費用は、地域差も大きいので一概にはいえませんが、当然ながら家計のやりくりには注意しておくのが無難です。
まとめ
現状として、国内全体のうち年収600万円を実現しているのは3割未満です。転職先・就職先や仕事内容によっては目指せるレベルではあるものの、求人の母数としては少ない傾向にあり、思うように採用が決まらない可能性も考えられます。とはいえ平均年収600万円となる職業は数多く存在しており、職場の選び方次第では十分に狙えるチャンスはあるでしょう。また年収600万円の手取り額は、大まかな目安では460万円程度です。単身世帯なら比較的余裕はあるものの、2人以上の世帯だと経済的に厳しく感じるケースも想定されます。もちろん、求める生活水準や家計の管理方法などによって変わってくるものの、おおよその基準として、今回ご紹介したようなデータも参考にしてみてください。