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公務員から転職するのは厳しい?おすすめの業種と強み

公務員から転職するのは厳しい?おすすめの業種と強み

公務員は社会貢献性も安定性も高く、腰を据えて活躍しやすい仕事ですが、より理想的な働き方やキャリアプランなどに向けて転職を検討するケースも珍しくありません。ただし公務員が勤務する行政機関と一般の民間企業では、社会的なポジションや果たすべきミッションなどが大きく異なることもあり、転職に踏み出すのが難しく感じてしまう場合も。そこで今回は公務員から民間企業を目指す際に、知っておきたい転職事情やメリット・デメリット、成功に向けたコツなどをご紹介。公務員からの転職でおすすめできる、業種の一例なども含めて解説していきます。

公務員からの転職が厳しく思えてしまう背景とは?

転職先選びに悩む人

では大前提として、なぜ公務員から民間企業への転職が厳しく感じやすいのか、その原因から整理してみましょう。

業務遂行の目的が大きく異なる

そもそも民間企業と公務員では、目指すべきゴールが変わってくることから、それぞれで活動内容や働き方などで相違する部分が多くなります。まず民間企業では、各社の商品やサービスを通じて独自の価値を提供するとともに、おもに利益を追求して経済活動を活性化する目的で事業を推進します。一方で公務員は、市民や国民の暮らしをサポートする公益活動を通じて、安定した社会生活を維持するのが基本的な任務です。公務員が遂行するのは、非営利目的の公共活動に向けた業務であり、民間企業のように業績を追い求めるものではありません。民間企業では、例えば顧客満足度の向上や売上拡大などを図るために、さまざまな新しい価値を創造していきます。ただし公務員の場合は、人々の安全で快適な暮らしを支える社会貢献に努めるポジションです。こうした社会的な役割の違いもあり、民間企業側からすると「公務員は受け身の姿勢の人が多いのでは」などのようなイメージにつながりやすい一面も。経験してきた職務が大きく異なることもあり、「民間企業の体質には合わない」などの印象を持たれやすい部分があります。

相手側が「もったいない」と感じてしまう可能性がある

一般の民間企業の採用選考とは異なり、公務員になるには一定の基準を満たす難しい試験に合格する必要があります。公務員経験者は、こうした難関の試験を突破しているからこそ、場合によってはその実績から「自社の業務が分不相応なのでは」と懸念されてしまうことも。担当業務を通じたミッションなどに対する物足りなさから、早期離職などの可能性を想定されてしまうケースも少なくありません。難易度の高い狭き門をくぐり抜けた優秀さゆえに、自社の社風に合わないと思われてしまうことがあり、なかなか採用につながらない例も見られます。

認識の違いが大きいなどの先入観を持たれてしまいやすい

公務員と民間企業では、前述にもあるような活動目的の違いをはじめ、仕事に対する姿勢や待遇などのさまざまな面で異なる部分が出てきます。例えば待遇でいえば、公務員の場合、基本的には年功序列で真摯な勤務態度などが評価されやすい傾向にあります。一方で民間企業では公務員に比べると成果主義の風潮が強く、実力を発揮しやすいものの結果次第で評価が変わりやすい側面も。こうした相違点が多々見られることもあり、「公務員から民間企業に来ると大きなギャップを感じてしまいそう」などの懸念を持たれてしまうケースも少なくありません。公務員と民間企業との働き方などで、ミスマッチが生じてしまうリスクが想定されやすく、転職が厳しくなりやすい一面もあります。

公務員からの転職で十分に考慮しておきたいポイント

公務員

ここまでにも出てきたように、公務員から民間企業に転職する際には、今までとは状況が大きく変わってくる認識を持っておくことも重要です。そこでまずは、民間企業で働くメリットとデメリットを整理して比較したうえで、本当に転職すべきなのか検討してみましょう。

公務員から民間企業への転職で得られるメリット

民間企業への転職によって考えられる大きなメリットとしては、おもに次のようなものが挙げられます。

  • 個人の能力や成果が評価されやすく、自分の実績による昇給・昇格や報酬獲得などが目指しやすい
  • 自分の思い描く理想的なキャリアパスに進みやすい
  • リモートワークや副業許可などの幅広い社内制度から、柔軟な働き方がしやすい

先ほども出てきたように公務員は年功序列のため、給与・役職・賞与など、決まった基準をもとに一定のルールに沿って与えられます。一方で成果主義の民間企業でなら、自らの実力で高いポジションや収入を得やすいのが大きな利点です。また公務員だと、定例のジョブローテーションなどにより希望する職務になかなか就けないケースもありますが、民間企業では社内で幅広いキャリアを選べるケースも。例えば部署異動の申請ができたり、目指したいキャリアの形成を支援してもらえたり、人材育成の制度を手厚く整えている企業も多く見られます。さらに民間企業では、独自の社内制度を導入しやすいことから、社員の働きやすさに向けた数多くの待遇や福利厚生を取り入れている場合も。各民間企業では、一人ひとりの生活環境に応じた働き方ができるように、より自由度の高いワークスタイルにできる仕組みにしている例も多々あります。

公務員から民間企業への転職で注意したいデメリット

民間企業への転職で得られるメリットは数多く存在していますが、以下のようなデメリットも考えられる点には注意が必要です。

  • 業績悪化や倒産などの恐れがあり、雇用の保証がされていない
  • 給与や福利厚生などの待遇の水準が下がる可能性がある
  • 求められる成果などのプレッシャーから、精神的・身体的な負担が大きくなるリスクも考えられる

公務員の場合は、国の役人として非営利目的で働いているので、勤務先の経営基盤による不利益を被ることはありません。しかし民間企業になると会社の経営が傾けば、給与などの待遇や、状況次第では離職につながってしまう可能性もあります。さらに公務員は給与や福利厚生などの水準が比較的高い一面もあり、転職先次第では現職よりも待遇が悪くなってしまうケースも少なくありません。また民間企業では、事業の継続・拡大に向けた利益の追求が欠かせない部分もあり、個々の実力が認められやすい一方で確かな成果が求められる部分も。民間企業への転職により、こうしたプレッシャーを感じやすくなり、ストレスが増えてしまう懸念も想定されます。

公務員の転職でおすすめできる業種と活かせる強み

さまざまな企業のオフィス

公務員から民間企業に転職する際には、さまざまなメリットもデメリットもあり、どちらも想定したうえで方向性を決めていく必要があります。そうしたなかで、もし民間企業への転職を目指すとなれば、できれば公務員としての経験を存分に活かせる職場を選ぶのがおすすめ。なお公務員時代に培った能力やスキルが活かしやすく、転職が成功しやすい業種としては、次のような例が挙げられます。

コンサルティング

公務員の場合は、例えば地域振興や都市整備など、よりよい街づくりや生活に向けたプロジェクトに携わるケースもあるでしょう。そうした業務のなかで、さまざまな課題解決に向けた分析や企画立案といった経験から培ったノウハウは、各企業の経営などをサポートするコンサルティングにも活かすことが可能です。例えば企業の状態を見極めて、どのような施策を打つべきなのか戦略を立てるコンサルティングは、地域への貢献活動に通ずる仕事といえます。こうした行政活動を経験している際には、経営などのコンサルティング分野への転職を検討してみるのもおすすめです。

福祉・教育

例えば各種手続きなどの窓口業務を担当してきたケースでは、さまざまな人と接する機会が多く、対人スキルに長けているといえます。こうした場合には、福祉・教育など、人と人との関わり合いが重要となる分野への転職もおすすめです。また福祉課などに勤務した経験があれば、介護や各種支援制度といった専門知識を活かして、高齢者をはじめとしたサポートを提供する企業を目指す方法も。もしくは教員経験で培ったノウハウを活かして、民間の人材育成や教育サービスに関する企業に転職するのもよいでしょう。

IT

各地域のDX推進やデジタル化などに携わってきた経験があれば、そこで培った技術系の知識やスキルを活かして、民間のIT企業を目指すのもいい方法です。またIT業界の仕事では、例えば業務改善に向けたツール導入など、さまざまな課題の解決能力が必要とされるケースも多く見られます。公務員としてよりよい地域づくりなどに関わってきた際には、問題を見極めて施策を立てる能力など、民間のIT企業でも高く評価されやすい要素といえます。

営業職

特に警察官や消防士などの保安に携わってきた公務員の場合、現場の状況に応じた臨機応変な対応力や、厳しい訓練にも根気よく取り組める耐久力が高い傾向が見られます。こうした能力は、顧客の要望に左右されやすい営業職でも求められやすく、高く評価されやすい一面があります。また例えば不動産営業なら、地方公務員として、都市整備などの各地域に精通したノウハウを活かすことも可能です。

各種管理部門

公務員として、行政関連の手続きや申請などを担当してきた場合には、的確にデータを処理・管理する能力に長けているケースも多いでしょう。そうした際には、より効率的かつ公正な対応力が求められる、経理・総務・労務などの管理業務で高く評価されやすい傾向にあります。正しく事務処理を遂行できるスキルを活かして、各民間企業の管理部門への転職を目指すのもいい方法です。

公務員からの転職で後悔しないためのコツ

では実際に、いざ公務員から民間企業への転職を目指すにあたって、志望する職場選びや選考に向けた対策として押さえておきたいポイントも解説していきます。

徹底した自己分析やスキル・実績の洗い出しをしておく

公務員から民間企業への転職で重要なのは、いかにして自分自身が志望する会社にマッチしているのか示すことです。前提として、公務員と民間企業では仕事内容や働き方など、大きく異なる部分が多くあります。採用する企業側としても、やはりこのギャップ感が不安要素になりやすい一面も。そこで採用選考時には、公務員時代に培った経験や能力を活かしてどう活躍できるのか、入社後のイメージを明確に提示することが大切です。どのような強みがあって、なおかつ入社後にはどう組織に貢献できるのか、しっかりと伝えられるように準備しておきましょう。またミスマッチのない職場選びのためにも、自分自身をきちんと見つめ直すことが必要です。転職に備えて、自己分析や身につけてきた能力など、今までの振り返りをしながら洗い出してみましょう。

理想のキャリアプランを明確にしておく

もし公務員から離職してしまったら、元に戻るのは簡単なことではありません。また安易な覚悟で転職を決めてしまうと、結局は新しい職場に行っても続かず、後悔してしまう可能性も高くなってしまいます。きちんと公務員からの転職を成功させるには、まずは民間企業に行くことで、どのようなキャリアにしたいのか明確にしておくことが不可欠。しっかりと何年か先の将来像もイメージしながら、あらかじめ長期的なキャリアプランも想定しておくと、より最適な転職先選びにも直結します。さらに自分なりのキャリアプランは、立派な志望動機にもつながるものです。また民間企業を目指すことで、何を実現したいのか・どうなりたいのか明らかにすることで、本当に転職すべきかの見極めもしやすくなります。

リアルな転職の体験談を調べてみる

もし公務員から転職すべきかどうか悩む時には、同じような選択をしている経験者の体験談などをリサーチしてみる方法もあります。例えばX(旧:Twitter)などのSNSで検索してみると、公務員からの転職者のリアルな声を調べることが可能。公務員から転職する実態を十分に見極めるには、実際の体験談を見てみるのもよいでしょう。

まとめ

公務員からの民間企業への転職は、厳しいと考えられる要素も一部ありますが、決して不可能ではありません。また民間企業間での転職だからといって、成功率が高いとも一概にはいえませんし、きちんとマッチすれば公務員からでも採用される可能性は十分にあります。なお公務員から民間企業への転職は、さまざまなメリットもデメリットも考えられますが、いずれにしてもどちらが適しているかは個人次第で異なるもの。さらに向いている業種なども、一人ひとりの経験などによって変わってきます。公務員からの転職をお考えの際には、ぜひ本記事も参考にしつつ、自分自身はどの選択をすべきなのかしっかりと検討してみましょう。