
一般的なフルタイムでは週休2日制となるのが基本ですが、「もっと休みがあったほうが充実できそう」「週に2日だけの休みだと時間が足りない」と感じる場合もあるでしょう。ちなみにまだ大幅には普及していないものの、「週休3日制」の勤務ができる企業も少しずつ出てきています。そこで今回は週休3日制の具体的な働き方について、メリット・デメリットや給与形態をはじめ、実際の導入事例も交えながら解説します。
週休3日制とは?
週休3日制とは、その名のとおり、一般的な週休2日制から休日を1日増やした勤務形態を指します。企業や業態などにもよりますが、基本的にフルタイム勤務であれば、週に5日間出勤するのが通常です。一方で週休3日制になれば、週に4日間のみの出勤となるため、心身ともに負担を軽減した働き方ができます。
ちなみに週休3日制は、2021年の内閣府による「経済財政運営と改革の基本方針2021」より、広く注目されはじめた新しい制度です。具体的に、各企業に対して義務化を図る内容ではありませんが、今後普及を推奨する方針を示しています。
とはいえ現状として、厚生労働省の調査(※1)によれば、週休3日制を取り入れている企業の割合は0.9%。その他の90%以上の企業では、週休2日制となっています(2025年時点)。少しずつ認知は広まっているものの、週休3日制を導入する企業はまだまだ少ない状況にあります。
(※1)厚生労働省「令和7(2025)年就労条件総合調査の概況」
週休3日制だと給与はどうなる?働き方のパターン例

週休3日制のように勤務日数の少ない働き方では、「出勤数が減る分、給与も下がるのでは?」と感じてしまうかもしれません。実際に週休3日制を取り入れる企業のなかには、勤務日数に応じて給与を低く設定しているケースも存在しています。ただし週休3日制の導入形態は、各企業で大きく異なっており、通常の週休2日制と同じ水準の給与設定にしている場合もあります。では具体的に、週休3日制ではどのような働き方になるのか、代表的なパターン例を見ていきましょう。
1日の労働時間を増やして給与を維持
勤務日数が減る分、1日の労働時間を増やして、通常の週休2日制と同じ勤務量に調整するパターンです。一般的な勤務形態となる「週5日×1日8時間」に合わせて、「週4日×1日10時間」に設定し、週40時間労働を維持するケースが多々見られます。ちなみに1日8時間を超過した勤務は、労働基準法では原則違法となってしまいます。そのため基本的には、週単位や月単位の合計した労働時間数で調整する、変形労働時間制と併用されます。このように少ない勤務日数でも、週休2日制と同等の働き方ができるようにして、給与水準を変えないようにする場合も多くあります。
1日の労働時間は維持したまま給与を削減
一般的な週休2日制と同じように、1日8時間など日ごとの勤務時間数を変えない代わりに、給与水準を低くするパターンです。例えば通常の勤務形態が「週5日×1日8時間」だとして、週休3日制になると「週4日×1日8時間」で出勤できる働き方です。こうした場合には勤務量に応じて、週休3日制では「週休2日制における基本給の8割に設定」など、給与水準を下げるケースが多く見られます。
1日の労働時間も給与も維持
一般的な週休2日制から、1日あたりの労働時間も給与も変えず、単純に出勤量を減らした勤務ができるパターンです。少ない勤務日数かつ時間ごとの賃金水準も上がる分、非常に高い生産性が求められやすい働き方でもあります。
週休3日制の働き方によるメリット・デメリット

ここまでに見てきたように、週休3日制だからといって、単純に働き方の負担が減るわけではありません。週休3日制になることで、通常の週休2日制とは異なる、メリットもデメリットも出てきます。大前提として週休3日制で働きたい場合には、次のようなメリット・デメリットも加味しながら検討してみましょう。
週休3日制で得られるメリット
ではまずは週休3日制の働き方ができることで、どのような効果が見込めるのか詳しく見てみましょう。
プライベートの時間をまとめて確保できる
週休3日制で丸1日休める日が増えることで、プライベートでまとまった時間が取りやすくなる利点があります。もし週休3日制で1日ごとの労働時間は長くなったとしても、休日として使える日数は多くなります。例えば「日ごとのプライベートな時間は減ってもいいから、なるべく休日数を増やしたい」などの場合には、週休3日制のほうが効率的に働きやすいでしょう。また場合によっては、1日ごとの労働時間が長くならないケースもあり、仕事だけに拘束されずに私生活を充実させやすいメリットがあります。
副業やスキルアップがしやすい
週休3日制で出勤日数が少なくなることで、仕事から離れて、自分の自由に使える時間を確保しやすくなります。こうして業務に左右されない時間をまとめて取ることで、副業をしたり、スキルアップを図ったりする機会に充てやすくなるのもメリットです。ただ日々の業務に追われるのではなく、将来を見据えたキャリア形成に向けて、新たなことへのチャレンジや自己学習などがしやすくなる効果に期待できます。
通勤の手間や時間を省くことができる
週休3日制になれば、おのずと通勤する回数も少なくなり、勤務先に通うための手間や時間を省ける利点もあります。出勤数が減ることで、例えば満員電車に乗ったり、勤務先と行き来するのに時間を取られたりなどの労力を軽減できます。このような通勤の負担を抑えることで、日々のストレス感もやわらぎやすくなるのもメリットです。
週休3日制で注意したいデメリット
週休3日制では、勤務する日数が少なくなる分、次のようなデメリットが生じる可能性もある一面には注意が必要です。
1日の労働時間が長い、または給与が減るケースもある
前述にもあるように、週休3日制の導入形態はさまざまで、企業によっては1日の労働時間を長くしたり給与水準を下げたりするケースが見られます。出勤するストレス感は軽減できるものの、1日ごとの業務量や経済面で、負担が増えてしまう可能性もある点には注意しましょう。
業務の調整が複雑になりやすい
週休3日制では、少ない日数で業務を遂行する必要があり、より効率的かつ高い生産性を意識して仕事を進めることが求められやすくなります。また顧客からの問い合わせや相談など、社外の関係者とやり取りするタイミングも減ってしまうため、場合によっては商談・受注などのチャンスを逃してしまうことも。さらに休日が増える分、周りの社員との協力も欠かせないため、業務の引き継ぎなどの手間も発生しやすくなる一面もあります。勤務日数が減ってしまうなかでも、十分にパフォーマンスを発揮できるように、十分な自己管理をしていくことも重要です。
社内でのコミュニケーションが希薄なる可能性がある
週休3日制になれば、おのずと出社する日数も減ってしまうため、社内でのコミュニケーションが取りにくくなる一面もあります。最近では、チャットツールなどでこまめにやり取りができる仕組みを導入しているケースも多く見られますが、やはり顔を合わせるタイミングがないと気軽なコミュニケーションはしづらい部分も。また出社しない日が増える分、社内での働きぶりも周りから見えづらくなるため、評価を受ける機会が少なくなる可能性も考えられます。週休3日制になった場合には、より意識的にコミュニケーションを図っていくことも大切でしょう。
各企業での導入事例をご紹介

ではここからは、週休3日制でどのような働き方が実現されているのか、具体的な導入事例をご紹介。週休3日制を取り入れている、複数の企業の事例をピックアップしているので、転職先選びなどの参考にもしてみてください。
【コスモスケア株式会社】
介護・障がい福祉施設の運営事業(従業員数:約380名)。所定労働時間1日10時間に延長し、夜勤のある事業所に限定して週休3日制を導入。労働時間・給与維持型。
【積水ハウス株式会社】
建設業(従業員数:約15,000名)。がん・不妊・透析・持病・疾病の治療や障がいを持つ子の看護、介護などにあたる従業員を対象に週休3日を導入。1日の所定労働時間(8時間)は維持したまま、給与・総労働時間を削減。
【株式会社中尾清月堂】
和菓子の製造・販売業(従業員数:約100名)。希望理由に関係なく選べる、選択的週休3日制を導入。1日の所定労働時間(8時間)は維持したまま、給与・総労働時間を削減。週休2日への途中変更も可。
【メタウォーター株式会社】
上下水道施設における機械・電気設備のエンジニアリング業(従業員数:約1,700名)。コアタイムなしのフルフレックスタイム制と併用した、選択的週休3日制を導入。1日の所定労働時間を延長し、勤務日数を削減(月単位で総労働時間を確保)。労働時間・給与維持型。
【株式会社オロ】
自社クラウドシステム製品の開発・販売業(従業員数:約340名)。希望した社員全員を対象とする、選択的週休3日制を導入。1日8時間・週32時間勤務型(月給を5分の4に削減)と、1日10時間・週40時間勤務型(月単位の変形労働時間/月給据え置き)から、各自の好みで選択可能。
【社会福祉法人青谷学園】
障がい福祉施設の運営事業(従業員数:約100名)。1日の所定労働時間10時間とする、週休3日制を標準勤務に設定(労働時間・給与維持型)。中学生までの育児中の従業員を対象に、1日8時間・週休2日制(夜勤なし・土日休み)の希望選択も可。
【SOMPOひまわり生命保険株式会社】
生命保険や医療保険などの金融業(従業員数:約2,700名)。妊娠・育児・介護中または再雇用の従業員を対象に、週4勤務制度(週28時間労働)を導入。1日の所定労働時間7時間を維持したまま、給与を削減。
【SMBC日興証券株式会社】
証券事業(従業員数:約9,000名)。60歳以上または育児・介護にあたる従業員を対象とした、「週3日・週4日勤務制度」を導入。1日の所定労働時間は維持したまま、給与・総労働時間を削減。
【株式会社USEN-NEXT HOLDINGS】
有線放送などの各種事業を展開するUSENグループ(従業員数:約5,400名)。コアタイムなしのフルフレックスタイム制にともない、週休3日の勤務も許可。
【株式会社エクシオジャパン】
保育園の運営事業(従業員数:100~299名)。1ヶ月ごとの従業員からの希望申請制による、選択的週休3日制を導入。所定労働時間1日10時間に延長した週4日勤務で、総労働時間・給与維持型。
【社会福祉法人合掌苑】
老人ホームなどの介護・福祉施設の運営事業(従業員数:約500名)。育児中などの従業員を対象に、「1日7時間×週5日」または「1日8時間×週4日」のいずれか選択して勤務できる制度を導入(いずれも土日出勤は免除)。
【株式会社Spelldata】
情報セキュリティ事業(従業員数:10名未満)。各自の希望に応じて利用できる、週休3日制を導入。5時~22時のうち、月ごと労働時間を自由に調整できるフレックスタイム制との併用可。
【社会福祉法人ひだまり】
介護・障がい福祉施設の運営事業(従業員数:約150名)。変形労働時間制による、選択的週休3日制を導入。週休2日制への途中変更も可。
【塩野義製薬株式会社】
医薬品メーカー(従業員数:約2,000名)。育児や介護などの希望理由に関係なく選べる、選択的週休3日制を導入(一部規定あり)。1日の所定労働時間(8時間)は維持したまま、給与・総労働時間を削減。土日+固定の平日休み(従業員で設定可)で勤務。
【株式会社リコー】
プリンターなどの機器メーカー(従業員数:約5,000名)。自己啓発・ボランティア・セカンドライフ準備・介護・育児・副業などにあたる従業員を対象に、週4日勤務ができるショートワーク制度を導入。1日の所定労働時間(8時間)は維持したまま、給与・総労働時間を削減。1日6時間または7時間の短時間勤務の選択も可。
【株式会社東邦銀行】
金融業(従業員数:1,800名)。妊娠中または育児や介護にあたる従業員を対象に、「週4日×1日8時間」もしくは「週5日×短時間(1日4~7時間)」で選択できる勤務制度を導入。勤務日数・時間に応じて給与を調整。
【エンカレッジ・テクノロジ株式会社】
ソフトウェア開発のIT企業(従業員数:約130名)。変形労働時間制にともない、週3日勤務も可。月ごとの総労働時間で週37.5時間になるようにシフトを調整。総労働時間・給与維持型。
【株式会社サカイエステック】
設備工事業(約60名)。介護や自身の体調などに応じて全従業員が希望申請できる、選択的週休4日制を導入。1日の所定労働時間は通常勤務のとなる従業員と同様。
【社会福祉法人福泉会】
介護福祉施設の運営事業(従業員数:約200名)。短時間正職員制度として、週4日×1日8時間勤務(週32時間)の選択的週休3日制を導入。1日の所定労働時間(8時間)は維持したまま、給与・総労働時間を削減。
上記にも出てきているように、幅広い組織規模や業態の企業において、週休3日制が活用されています。週休3日制にしている企業の母数は、まだまだ少ない状況ではありますが、今後はもっと増えていくかもしれません。
まとめ
週休3日制は、通常の週休2日制に比べて、少ない出勤日数で働くことができます。場合によっては給与が減るような勤務形態になる可能性もありますが、週休2日制と同じような賃金で働けるケースもあり、企業によってさまざまです。また週休3日制にしている会社自体は、現状ではかなり少ないものの、今回ご紹介したように大手だけでなく中小企業でもいくつか存在しています。もし週休3日制の働き方に興味があれば、導入している企業で求人が出ていないか、チェックしてみるのもおすすめです。