例えば「今までに語学を学んだ経験がある」「独学で英語力を習得してきた」などの場合、そのスキルを活かした転職を検討するケースも少なくないでしょう。場合によっては、英語のスキルを通じて、収入アップやキャリアアップなどが目指せる可能性もあります。では実際に英語力を強みとして転職したい時に知っておきたい、各業種・職種で有利になりやすいスキルレベルや、評価されやすい資格例などを解説していきます。
そもそも英語が活かせる転職先とは?
特に近年は、日本の人口減少にともなう市場の縮小や人手不足の影響もあり、各企業の海外進出や多国籍人材の活用などが活発になってきています。こうした背景からも、幅広い企業で高い英語力を持つ人材が求められやすく、実際に採用基準として一定のTOEICスコアなどを設けているケースも見られるようになってきました。
このように英語力が評価される転職先の選択肢は増えてきているものの、なかでも語学のスキルによって有利になりやすいのは、やはり外資系企業や日系グローバル企業。外資系企業や日系グローバル企業では、例えば海外の取引先や関連会社などとやり取りする場面も多く、そもそも応募条件に一定の英語力を設定していることも珍しくありません。特にマネジメント職やバックオフィス関連の管理業務では、社内の海外人材と接する機会も多くなりやすく、高い英語力が求められやすい傾向にあります。
その他にも、大手メーカーをはじめとした有名企業の総合職などでも、採用時点で英語力を必須としている場合も多々見られます。英語力を活かして、外資系企業や日系グローバル企業、国内大手企業などへの転職を目指してみるのもよいでしょう。
【TOEICスコア別】英語力が必要とされやすい業種・職種
ではここからは、特に英語力が活かせる具体的な業種や職種について、採用基準となるスキルレベルの目安とあわせてご紹介。各企業の採用基準でよく見られる、TOEICのスコア別に、どのような転職先で英語力が求められやすいのか見ていきましょう。
【TOEIC450点~500点以上】観光関連
やはり最近はインバウンド需要が高いこともあり、海外からの旅行客と接する観光関連の業種では、一定の英語力が必要とされる職種も多くあります。例えば、ホテルのフロントやサービス、空港のグランドスタッフ、旅行のツアーコンダクターや現地ガイドなど。ちなみに観光関連の業種では、一般の個人顧客とのコミュニケーションが基本となるため、TOEICのスコアとしては日常会話レベルが求められる場合が多く見られます。
【TOEIC500点~650点以上】システムエンジニア
IT業界のなかでは、海外拠点や多国籍人材を活用している企業も多く、開発現場で英語が使える日本人エンジニアを採用する場合も多々見られます。海外のスタッフと協力して、各工程を進める場面が出てくることもあり、スムーズに日常会話ができる程度の英語力が必要とされることも。また外資系やグローバル系のIT企業では、英語の仕様書などをもとに作業をおこなうことも想定され、高い英文読解力が求められる場合もあります。
【TOEIC600点~700点以上】バックオフィス関連の管理業務
前述にもあるように、外資系やグローバル系の企業では、人事や経理などのバックオフィス業務で英語を使用しやすい特徴があります。各社のバックオフィスに関わる管理業務では、海外の拠点やスタッフなどに関係する処理も多く出てくるためです。例えば採用や請求をはじめ、自社の公式的な文書などを取り扱う場面も多々あり、ビジネス会話レベルの英語力が求められやすい傾向にあります。その他にも、貿易事務や営業事務といった現場をサポートするバックオフィス業務でも、ビジネス英語のスキルが必要とされるケースが見られます。
【TOEIC750点以上】海外営業
海外の取引先と直接接する営業職では、ネイティブレベルの高い英語力が求められやすい傾向にあります。例えば海外の顧客に対する折衝やプレゼンなど、すべて英語で対応しながら、商談・交渉を進めて契約まで取り付けるポジションとなるためです。ビジネス上での英会話や読み書きはもちろん、海外におけるマナーなど、異文化の理解やグローバルなコミュニケーション力といった高度なスキルも必要とされやすい特徴があります。
【TOEIC850点以上】外資系金融、コンサルティングファーム
海外企業の買収や資金調達などを手がける外資系金融や、経営に深く関わるコンサルティングファームでは、より高度な英語力が求められます。例えば経済動向の情報収集や分析といった、英語によるリサーチや戦略策定などにも携わり、ビジネス上の複雑な英会話や読み書きにも対応する場面も多く出てきます。TOEICスコアのなかでも、かなりの高得点が必要とされやすいでしょう。
【TOEIC800点~900点以上】通訳・翻訳・通訳案内士
語学の専門職ともいえる通訳・翻訳・通訳案内士は、特に高度なネイティブレベルの英語力が必要です。その場の状況に応じて、柔軟かつ的確に言葉を伝達する仕事でもあり、英語による臨機応変なコミュニケーション力や文章力なども求められます。本格的に英語を専門とする職種では、やはり採用時からハイレベルな英語力がないと難しいでしょう。
転職で有利になりやすい英語関連資格5選
ここまでにはTOEICを基準に、英語が活かせる職場や仕事などを解説してきましたが、ビジネスで有利になりやすい英語関連の資格はまだまだあります。そこで以下からは、転職時に評価されやすい、英語に関わる資格をいくつかピックアップしてご紹介していきます。
実用英語技能検定
実用英語技能検定は、通称「英検」とも呼ばれる、国内ではトップクラスの知名度を誇る英語力を示す資格です。リーディング・リスニング・スピーキング・ライティングの4つの技能を総合的に判定できる試験で、特に2級以上からは、海外留学の条件や入試・単位の優遇基準にもなります。読み書きを含めた幅広い英語力を測定でき、なおかつ日本ではかなりポピュラーな資格でもあるため、採用選考時にも有利になりやすいのが特徴。なかでも準1級や1級になると、世界のビジネスでも通用するグローバル人材レベルとして、高く評価されやすい傾向にあります。
日商ビジネス英語検定
日商ビジネス英語検定は、おもにスピーキングとリスニングを軸として、さまざまなビジネスシーンにおける臨機応変な受け答えや交渉などができる能力を示す資格です。各ビジネスシーンを想定した出題や時事問題をはじめ、アイスブレイクとしての会話力など、より実践的な英語のスキルを測定できるのが特徴。海外企業とのコミュニケーション力として、採用選考時にも高く評価されやすい英語関連の資格でもあります。
国際連合公用語英語検定試験
国際連合公用語英語検定試験は、世界情勢や国際時事問題なども含めた、より教養の深い国際コミュニケーション力を示す資格です。合計で6つのレベルに分かれており、なかでも上級となるのはA級や特A級。A級は英文による論理的なプレゼンや討論、特A級は英語での契約交渉や国際会議などにも対応できるレベルされており、採用選考でも高く評価されやすい傾向にあります。また国連職員など、国際公務員の受験資格にもなっており、かなり難易度が高いのも特徴です。
Linguaskill Business(旧:BULATS)
Linguaskill Business(リンガスキル ビジネス)は、ケンブリッジ大学英語検定機構が開発した、ビジネスシーンに特化した総合的英語力を示す資格です。例えば、海外出張・顧客との商談・問い合わせ対応・研修など、さまざまな場面を想定した出題がされています。読み書きから英会話、リスニングまで、すべての言語技能の測定を網羅したテスト内容も大きな特徴。なお5つのレベル分けがされているなかで、B1~B2に合格できれば業務上にも活かせるレベルとされており、採用選考でも高く評価されやすいでしょう。
VERSANT
VERSANTは、おもにビジネスシーンにおける英語のコミュニケーション力を測るテストで、その場に応じて自然な受け答えができる英会話スキルを示す資格です。その他、Eメールを想定した文章構成力などを測定できるライティングテストや、スピーキング・リスニング・ライティング・リーディングのすべてに対応したプレイスメントテストも用意されています。またオンラインにて、即時に受験・結果確認もできるのが特徴で、すぐにでも英語力を証明する資格を必要としている場合にもおすすめです。
まとめ
転職で英語を活かすには、業種や職種によって異なりますが、TOEICを基準にするのであれば少なくとも「450点以上」の資格が必要とされるのが一般的です。ちなみにTOEICの公式としては、業務上に問題なく、どのような状況にも対応できるレベルとなるのが「730点以上」。またTOEICのうち、基本的にビジネスの評価基準で使われやすい「Listening & Reading」テストでは、リスニングとリーディングでそれぞれ「300点」前後を中級レベルとしています。もちろん今回ご紹介したように、採用時に評価されやすい英語の資格はいくつもありますが、もしTOEICで考えるなら「650点」程度は目指せるのがベストでしょう。ぜひ本記事も参考に、転職に向けた英語の活かし方を検討してみてください。