「仕事内容や職場環境が合わない」「自分の理想的なキャリア形成が難しい」など、転職に至るキッカケはさまざまで、決して悪いことではありません。場合によっては家庭の事情など、自らの希望に限らず、転職せざるを得ない状況になるケースも考えられるでしょう。とはいえ転職回数が増えてしまうと、「なんとなく印象が悪く見えて不利になりそう……」など、漠然と採用されにくいように感じてしまうかもしれません。そこで今回は、転職回数が多い時の対処法についてご紹介していきます。
【世代別】転職回数の平均は?
そもそも世間的には、どれくらい転職している人が多いのでしょうか?まずは、厚生労働省が実施した「雇用の構造に関する実態調査(転職者実態調査)(令和2年)」をもとに、一般的な転職状況から見てみましょう。
20代の転職回数
<20歳~24歳>
1回:69.7%
2回:16.9%
3回:9.9%
4回:1.2%
5回:-
6回以上:1.2%
<25歳~29歳>
1回:49.3%
2回:23.9%
3回:17.8%
4回:5.9%
5回:2.0%
6回以上:1.0%
20代の転職回数は、やはり年齢が若いこともあり、「1回」との回答が圧倒的に多い結果となっています。
30代の転職回数
<30歳~34歳>
1回:27.1%
2回:24.9%
3回:23.6%
4回:14.8%
5回:3.5%
6回以上:5.7%
<35歳~39歳>
1回:14.6%
2回:22.2%
3回:25.0%
4回:17.5%
5回:8.3%
6回以上:12.2%
30代に入ると、2回以上の転職経験者が増える傾向にあります。特に30代の転職回数として多いのは、「2回」や「3回」との結果になっています。
40代の転職回数
<40歳~44歳>
1回:14.9%
2回:12.9%
3回:20.0%
4回:15.4%
5回:11.5%
6回以上:25.1%
<45歳~49歳>
1回:13.9%
2回:14.1%
3回:22.6%
4回:17.1%
5回:11.7%
6回以上:20.6%
40代では、転職回数が「3回」になる人が比較的多いようです。さらにここまでの年代と異なるのは、「6回以上」の転職経験者が大幅に増える点。全体の約5分の1以上は、6回以上の多くの転職を経験していることがわかります。
50代の転職回数
<50歳~54歳>
1回:14.1%
2回:18.3%
3回:17.5%
4回:14.1%
5回:11.4%
6回以上:24.6%
<55歳~59歳>
1回:17.9%
2回:14.6%
3回:17.6%
4回:14.9%
5回:11.6%
6回以上:22.9%
50代においても、40代とほぼ似たような状況ですが、転職回数が2回までに収まっている層の比率が少し高めになっています。また40代と同様に、50代になると、6回以上の転職を経験している人も多い傾向が見られます。
全体を通して、特に30代以降では大きな偏りは見られず、転職回数が多い人も少ない人もまんべんなくいることがわかりました。また40代や50代では、年齢の高さもあってか、転職回数が6回以上になるケースも多数。もちろんある程度の限度はありますが、世間的にいえば、転職回数の多さはさほど気にする必要はないといえるでしょう。
エントリー前に要チェック!転職回数の数え方
大前提として、履歴書や職務経歴書などに転職歴を記載する際に、どこまでの範囲を含むのか整理しておきましょう。
基本的にエントリー書類に職歴として明記するのは、正社員や契約社員で勤務した期間です。また派遣社員の場合も、職歴として記載できますが、同じ派遣元で働いている期間は一つにまとめて書きます。例えば同じ派遣元で、「A社に3年、B社に2年」というように就業先が変わっても、派遣社員時代を「計5年」として記載するのが通常です。
なおパートやアルバイトで勤務した期間は、一般的には職歴に含みません。原則は、正社員または正社員同等の勤務状況だった場合に、職歴として記載します。
転職回数が多いとどうなる?
転職の仕方にもよりますが、一般的に採用で影響しやすいのは、就業期間の長さです。たとえ転職回数が多くても、それぞれの会社で何年か勤務し、各社でしっかりと経験を積んでいることがわかれば採用で不利になることはさほどありません。
また確かなスキルやノウハウがあることが明確に判断できる場合、転職回数が多くても、採用されやすい傾向にあります。例えば、「勤務先は変わっていても、特定の業界や職種で一貫したキャリアを形成している」など。なかでも専門性の高い業界や職種における転職は、「キャリアアップのため」などの明確な理由があれば、豊富な経験として評価されるケースもあります。
「あまりに一社ずつの就業期間が短い」「転職の理由があいまいでブレが見られる」などの場合、転職回数が多いと印象が悪く見えるかもしれません。とはいえ単純に転職回数が多いからといって、不採用になることはないので、まずは今までの経験をきちんとアピールできるように対策することが重要です。
転職回数をごまかすのはNG!バレる理由とリスク
「何度も転職していたとしても、実際に伝えなければわからないのでは?」とも思うかもしれませんが、入社の手続き上で、ウソが発覚してしまうケースもあるため注意が必要。社会保険の加入申請時や、源泉徴収票などから、職歴や在籍期間がわかってしまうので、入社時点で簡単にバレてしまう可能性があります。
こうした虚偽の職歴で選考を通過したとしても、ウソがバレてしまえば、内定が取り消されてしまうリスクも。場合によっては経歴詐称として、損害賠償にまで至ってしまう危険性もあります。その場しのぎにはなっても、結果的には転職に失敗する確率が高いため、転職回数のごまかしは絶対にやめておきましょう。
転職回数が気になる場合の面接のコツ
では実際に、転職回数が多くても選考を通過するためのコツとして、面接で特に重視しておきたいポイントを解説していきます。
転職した理由は明確かつ前向きに伝える
転職の理由がうやむやになっていると、面接官としては「何か隠していることがあるのでは?」というように、疑問の目で見てしまいがちです。また転職元の職場に非があるような伝え方をすると、「せっかく入社しても何か不満に感じたらすぐに辞めてしまいそう」など、マイナスなイメージにつながりやすくなってしまいます。
特に転職回数が多い場合には、なぜ職場を変えようと思ったのか、簡潔でポジティブに伝えるのがポイントです。場合によっては、ネガティブな理由で転職したこともあるかもしれませんが、できるだけ前向きな言葉に変換させるのがコツ。例えば人間関係や待遇などの問題から転職したとしても、「経験を積むなかでもっと視野を広げたいと感じるようになった」など、別の新しい角度から考え直すのもいい方法です。転職の理由はあいまいにせずに、なおかつはっきりとした自らの意思や希望が見える内容として伝えてみましょう。
転職回数を強みとしてアピールする
転職回数が多いということは、裏を返せば多種多様な職場を経験することで、幅広い視野やノウハウを持っているとも判断できます。また新しい職場にどんどん飛び込めるのは、好奇心やチャレンジ精神などが旺盛な証拠ともいえます。こうした転職回数の多さを強みとして、さまざまな職場で得た学びや身についた姿勢など、自らのアピールポイントにしてみるのがおすすめです。これまでの転職経験は、どのようにして今後のキャリアに活かせるのか、じっくりと今までの道筋を振り返ってみましょう。
失敗から得た学びにも注目する
今までの職場における実績や豊富な経験をアピールするのも大事ですが、もし転職で失敗を感じたことがあれば、そこからどう立て直したのか伝えるのも効果的です。単純な成功だけでなく、失敗から学んで現状に活かしている点をアピールすることで、何か困難があっても乗り越えられる力を評価してもらえます。これまでの歩みがどう今につながっているのか、明確に説明できるように準備しておくのも重要です。
キャリアプランや転職先で実現したいことをしっかりとイメージしておく
転職回数に関係なく、企業側としては明確な目標を持って、意欲的に活躍できる人材を求める傾向にあります。実際に叶えたいキャリアプランや、取り組んでみたい企画など、しっかりと入社後の活躍をイメージしていることを伝えるのも重要。なぜ次の転職先として選んだのか、はっきりとした目的意識がわかるように、十分な企業研究をして志望動機を練っておくようにしましょう。
まとめ
今回ご紹介してきたように、転職回数が多いからといって、必ずしも採用に悪く影響するわけではありません。転職回数が多いと「採用されにくいのかも」などの懸念を感じるかもしれませんが、しっかりと選考のポイントを押さえておくことで、内定につながる確率はぐっと高まります。
また転職回数の多さが気になる時には、例えばエージェントサービスなど、転職のプロの力を借りるのもいい方法です。転職エージェントサービスを使えば、書類の書き方や面接の受け答えなど、選考過程も含めたフォローを受けることが可能。なお「オーダーメイド転職」では、三重県に特化した転職サポートをおこなっており、企業とのマッチングから選考対策まで手厚くお手伝いしています。三重県での転職をお考えの際には、ぜひ活用してみてください。