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遅刻が有給扱いは違法?半休や時間分の賃金控除が基本?

遅刻が有給扱いは違法?半休や時間分の賃金控除が基本?

電車遅延や体調不良など、予想しない事態で仕事に遅刻してしまうケースは珍しくありません。始業に遅れてしまった分は、当然ながら労働が発生していないので、遅刻によって給与にも影響するのが通常です。とはいえ場合によっては、遅刻した分を有給休暇にして、差し引きゼロとして対処するケースも。そこで今回は、遅刻した際の措置として、知っておきたい基本的なルールや違法性などを解説していきます。

遅刻はノーワーク・ノーペイの原則から賃金控除が基本

遅刻

遅刻した分は、当然ながら働いていない時間が発生しているため、基本的にはノーワーク・ノーペイの原則から賃金控除となります。ノーワーク・ノーペイの原則とは、従業員が就業にあたっていない期間に対しては、使用者側には賃金を支払う義務はないとするものです。つまり遅刻や休業のように、勤務先からの指揮命令下から完全に離れた状態にある間は、賃金が発生しないことになります(社内での待機や電話番などの手待ち時間は除く)。そのため遅刻をしてしまうと、仮に月給制や日給制なら、その基本給を時間で割った賃金が差し引かれるのが通常です。

ちなみにたとえやむを得ない事情であったとしても、勤務先による責任が及ばない範囲になると、ノーワーク・ノーペイの原則が適用されます。例えば本人の体調不良をはじめ、育児や介護といった家庭的な事情や電車遅延など不可抗力の遅刻でも、賃金控除の措置となるのが基本です。

遅刻を有給休暇にしても違法にはならない

基本的に有給休暇は、休日を取る前の事前申請制として取得するのが原則です。ただし体調不良などの急な遅刻や休日に対しては、例外的に事後申請で、有給休暇に置き換える対応にしている企業も多々見られます。

このように遅刻を有給休暇として扱うことで、賃金控除をせずに、通常どおりの給与を支払うようにするパターンもあります。なお前述にも出てきたノーワーク・ノーペイの原則は、有給休暇のような制度では例外となるため、休んだとしても必ず賃金は発生します。ただし遅刻分を有給休暇にできる例は限られていて、勤務先の制度によっては適用されない場合もあります。では実際に、どのようなケースがあるのでしょうか。

遅刻を有給休暇にできるパターン例

 

遅刻

大前提として休日とは違い、遅刻のように特定の時間帯のみ労働時間が抜けた状況に対して、有給休暇を適用するのは矛盾しているように感じるかもしれません。例えば1日単位や半日単位の有給休暇になっている場合、仮に1時間しか遅刻しなかったとして、何時間分にもおよぶ有給休暇を使ってしまうのは辻褄が合わないことになります。

ただし有給休暇の取り方は、企業側で自由に設定して運用できるようになっていて、取得方法は勤務先によって大きく異なります。場合によっては、遅刻した分を有給休暇に変換する扱いになっても、従業員側としても合理的であまり損をせずに済むケースもあります。では具体的に、遅刻を有給休暇にしても違法にならないパターンを詳しく見ていきましょう。

分または時間単位で消化できる有給休暇

先ほども出てきたように、有給休暇の設定方法は、各企業側の裁量次第で柔軟に決めることができます。そのため企業によっては、1分毎や1時間毎など、細かな単位で有給休暇を消化できる制度にしているケースも見られます。こうしたパターンでは、遅刻して出遅れた時間数に合わせて有給休暇にできるため、余分に日数を減らすことなく置き換えができます。もちろん有給休暇として取り扱うため、遅刻した分の賃金控除もなく、従業員側としても損になりにくい方法です。

原則半休または全休となるものの調整できる有給休暇

なかには「1分単位」や「1時間単位」ではなく、「最小○分以上から取得可能」など、従業員側で有給休暇の範囲を柔軟に設定できる仕組みにしているケースもあります。

例えば半休からの有給休暇であっても、場合によっては「5分以上から4時間以下までを午前または午後休で取得可」など、状況に応じて調整が利くようにしているパターンです。基本的には半休や全休の有給休暇としていても、就業規則上では従業員側で単位を決めて取得できる可能性もあるので、まずは社内のルールを十分に確認してみるとよいでしょう。もちろんこの場合にも、遅刻した分を有給休暇として消化できるため、賃金控除もなく給与が減る心配もありません。

大幅な遅刻で午前に出勤できず半休にする有給休暇

仮に半休から取ることができる有給休暇で、大幅に遅刻をして午後からの出勤となった場合、当然ながら午前休として消化できます。例えば体調不良や家庭の都合で、2時間や3時間など始業時間から大きく遅れそうな時には、業務上に問題がなければ午前休にしたほうが効率的なパターンも。もちろん上長などとの相談は必要となるものの、半休から取得できる有給休暇であれば、遅刻の状況に応じて午前休にしてもらう方法もあります。

遅刻した分に見合わない有給休暇を使うのは不可

遅刻

ここまでに見てきたように、遅刻を有給休暇として扱うことができるパターンはいくつかあるものの、あくまで賃金控除となるのが原則です。例えば次のように、遅刻した分と有給休暇で消化できる単位で整合性が取れないケースでは、賃金控除の措置となります。

  • 1日全休の有給休暇しかなく、時間単位での消化ができない
  • 半日単位(4時間毎など)から有給休暇が取れるものの、1時間だけ遅刻した

上記のようなパターンでは、「有給休暇にも関わらず勤務が発生している」時間ができてしまい、法的なルールとの齟齬が生じてしまいます。そのため企業側に違法性が問われてしまうため、有給休暇の適用ができない分、遅刻したら賃金控除として基本給から差し引くことになります。

遅刻時に半休や全休の有給休暇を強制するのは違法

仮に「10分」や「1時間」など、細かな時間数での遅刻に対し、企業側からの指示で半休や全休の有給休暇を消化させることもできません。前述にもあるように有給休暇に強制的に労働させたことになり、結局のところは別途振替した休日を付与する必要が出てきます。そのため遅刻した分に見合わない有給休暇を使っても、最終的には消化されないことになります。

もちろん本人の同意なく、無断で遅刻した分を有給休暇として消化して処理するのも違法です。たとえ分単位や時間単位で有給休暇が取れるとしても、企業側の勝手な判断で遅刻した分を消化したことにするのはできません。あくまで本人の申請によって、遅刻した分を有給休暇にするかどうか決められるのが通常なので、どのような扱いにするのか人事などの担当部署や上長と相談するようにしましょう。

遅刻した分を有給休暇にしたい時の注意点

もし遅刻した分を有給休暇として消化できそうなら、賃金控除が発生しない分、減給にはならないメリットがあります。一方で遅刻を有給休暇の扱いにすると、残数が中途半端になってしまい、結局は残ってしまった分が使いにくくなる可能性もある部分には注意が必要です。

仮に時間単位の有給休暇で、遅刻した「30分」や「2時間」など短い区分で消化した場合。全休で使用できる有給休暇が減り、例えば「7.5時間分」や「6時間」など、小刻みな休みにしないと消化しにくい残数になってしまいます。もちろん早上がりや半休などで、細かく消化していく方法もありますが、うまく有給休暇が取れないとそのまま残ってしまうことも。こうして消化しきれずに、最終的には時効で消滅してしまうと、結局のところは1日分の有給休暇がムダになってしまうリスクもあります。

このような側面があることも考慮しながら、遅刻となってしまった際には、有給休暇で消化するのか賃金控除にしてもらうのか検討していきましょう。

まとめ

日々働いていくなかで、どんなに気を付けていたとしても、体調不良などの急な事態で遅刻してしまう可能性は誰にでもあります。ただどうしても遅刻せざるを得ない事情があったとしても、勤務先から受け取る給与はあくまで労働の対価となるため、勤務しなかった分の賃金は差し引かれるのが原則です。とはいえ各企業の有給休暇の仕組みによっては、遅刻した分に合わせて消化できるケースもあります。ちなみに遅刻したからといって「午前の分は半休で消化」など、勤務先が有給休暇扱いを強制するのは、違法となります。どうしても仕事に遅刻してしまう際には、ぜひ本記事も参考に、就業規則なども見ながら対処法をチェックしてみましょう。