転職を考えるキッカケは人によってさまざまですが、なかには心機一転、次のステップへ進むために職場を変えるケースもありますよね。例えばスキルの習得やキャリアアップを目指して、今までに経験のない職種や業種に転職することも珍しくありません。ただ新たな挑戦を前提とした転職では、自分をどうアピールすべきなのかわからず、きちんと採用してもらえるのか不安になってしまう場合も少なくないでしょう。そこで今回は、新しいチャレンジに向けた転職を成功させるために、選考時に押さえておきたいポイントを解説していきます。
「新しく挑戦したい」だけでは転職が不利になる可能性もある
新たなチャレンジを目指して転職をする姿勢は、高い向上心を持っている証拠でもあり、熱意をアピールするための大切な要素です。しかし単純に「新しく挑戦したい」という心がまえだけでは、なかなか採用にはつながらない可能性もあります。
企業側としては、あくまで自社の事業にとって、プラスになる人材を求めて採用活動をおこなっています。一般的には、すぐにでも戦力になりそうな人材を採用したいのが本音で、自社の業績につながる能力やスキルを持つ求職者が評価されやすい傾向にあります。
もちろん育成を前提として採用するパターンもあり、挑戦したい意欲が評価される場合も少なくありません。しかし基本的には、「チャレンジしたい意欲」に加えて、「企業への貢献性や活躍度」が見えてこなければ採用は厳しいのが現実です。
また新たに挑戦したい理由があいまいだったり、一貫性がなかったりすると、反対にマイナスな印象になってしまうリスクも。例えば「また別に興味のあることが出てきたら、すぐに辞めてしまうのでは?」など、長く続かないイメージを想起させてしまうパターンも考えられます。なぜその企業に転職したいのか、入社したらどう力になれるのか、まずはしっかりと伝えることが重要。ただ「挑戦したい」だけではなく、採用側にとっても入社後のイメージが湧くような志望動機や自己PRをすることが欠かせません。
新たな挑戦を転職理由にする際に気を付けたいポイント
では実際に新たな挑戦に向けた転職で、書類や面接などの選考を通過するために、注意しておきたいポイントも見ていきましょう。
マイナスに感じられる要素はできるだけ省く
仮に「ステップアップできる環境がない」など、マイナスな理由から転職を考えたとしても、前の職場における不満は見せないようにするのが基本です。前職に対するネガティブな気持ちから、転職する様子が伺えてしまうと、「すぐに諦めてしまうのでは」「問題を解決しようとする姿勢がない」などの評価につながってしまうケースも。そうなると「結局採用しても、似たような壁にぶつかったら辞めてしまいそう」など、すぐに退職してしまうイメージに見える可能性もあります。
もちろん転職時の選考では、正直な経歴や意思を伝えることは大切ですが、志望動機はなるべく前向きな内容にするのがコツです。例えば昇格が難しい職場だったとしても、「現場のプレーヤーとしてノウハウの蓄積に専念できた」など、ポジティブな印象が残るように工夫して伝えるようにしましょう。
抽象的な意欲や熱意に偏りすぎない
特に未経験の職種や業種にチャレンジする際には、やる気のある姿勢を見せようとして、向上心を強くアピールしがちです。どうしても、「新しく学んでスキルアップしたい」といった姿勢を強調したくなりますが、職場は成長や勉強の場ではないので要注意。あくまで転職先の事業にどう貢献できるのか、自分なりの活躍のイメージを軸として、志望動機や自己PRの内容を練るようにしましょう。どう能力を発揮して戦力になれるのか明確にしながら、「もっと次のステップに進みたい」というようなチャレンジ精神を伝えることが大切です。まずは今までの実績や経験を交えつつ、入社後のビジョンを具体的に示すようにしましょう。
入念な自己分析をもとに活かせるスキルを明確にする
前職とは異なる職種や業種に挑戦する場合でも、今までに培ってきた経験やスキルが活かせる場面は多々出てくるでしょう。例えばコミュニケーション力やリーダーシップなどは、幅広い仕事で役立つスキルといえます。「あまり特別なスキルはないかも」と感じている時でも、これまでの経歴を十分に振り返ることで、自分にとって強みとなる能力は見えてくるものです。まずは自分なりにキャリアの棚卸しをしてみて、次の転職先にも活かせそうなスキルはないか、しっかりと洗い出してみることをおすすめします。
計画性のあるキャリアプランを練っておく
あまり求職者自身の将来設計が見えてこないと、企業側としても長期的な活躍がイメージしづらくなってしまいます。新しく挑戦するにしても、転職先でどうスキルを磨いて、どのようなキャリアパスを歩んでいきたいのか明確にしておくことが重要。転職によって目指したい具体的なビジョンを示すことで、その企業でキャリアを積み重ねる意思が伝わりやすくなり、ポテンシャルを見越した採用にもつながりやすくなります。ただ単純な目先のステップアップだけでなく、あらかじめ先を見据えたキャリアプランも練っておくことが大切です。
【例文付き】新たな挑戦を志望動機として印象をアップさせるコツ
ではここからは新たな挑戦に向けた転職をする場合に、実際に活用できるテクニックをご紹介。きちんと採用につながる志望動機にするために、以下のようなコツも覚えておきましょう。
新しくチャレンジするキッカケを具体的にする
何かしら新しいことに挑戦する際には、必ず多少なりともキッカケがあるはずです。ビジネスシーンはもちろん、プライベートな場面でも構わないので、新たにチャレンジしようと考えた根拠を明確に示すようにしましょう。なぜその職種や業種に挑戦したいのか、はっきりとした理由がわかれば、確かな説得力のある志望動機にできます。また企業側としても納得しやすい志望動機があると、きちんと熱意を持って活躍してもらえる姿が見えやすくなります。例えば実際の体験やエピソードなども思い出しながら、どのようなキッカケがあったのか具体的にまとめてみましょう。
(例文)
【事務⇒営業】
私は一般事務として、お客様からのお問い合わせ対応などの内勤業務に従事してきました。さまざまなお客様と電話やメールでやり取りし、ニーズを汲み取りながら先方からの相談や質問に応じることで、頼りにしていただけることも多くありました。このように顧客との確かな関係性を築くことに喜びを感じるなかで、私自身も直接的にお客様からの信頼を得る、営業職に関心を持つようになりました。
今までの経験と転職先の仕事との関連性を明らかにする
例えば同じ業界のなかで別の職種に転職する場合、各事業のビジネスモデルなどの基礎知識は、次の職場でも十分に活かすことが可能です。また同職種で異なる業界に転職する場合も、業務に関する基本的なノウハウを持っているのは大きな強みといえます。
なお業種も職種も異なるまったくの未経験から挑戦する時でも、さまざまな仕事に共通する、汎用性の高いスキルは立派なアピールポイントになります。先ほども出てきたように、まずはしっかりと自分の過去の経験を振り返ってみて、次にも活かせるスキルを洗い出してみましょう。
(例文)
【事務⇒営業(異業種)】
前職では営業をサポートする事務職でしたが、会社へのお問い合わせなどでお客様と接する機会も多く、常に丁寧な対応を心がけてきました。取引先ごとの特徴や傾向に配慮しながら、そのお客様が何を求めているのか、しっかりと耳を傾けて要望を汲み取るコミュニケーションを意識してきました。こうしたお客様一人ひとりに寄り添う傾聴力を活かして、顧客に真摯に向き合う営業活動に活かしたいと考えています。
その企業だからこそ実現できることを示す
志望動機で重要なのは、なぜその企業でなければならないのか、明確に示すことです。「どの企業でも同じことが言えるのでは?」というような、他社の志望動機にも当てはまるような内容では、採用担当者の印象にも残らず説得力もなくなってしまいます。あらかじめ十分な企業研究をおこなったうえで、その会社だからこそ実現できるキャリアプランや目標など、できるだけ具体的なイメージを盛り込むのがベストです。
(例文)
【事務⇒営業】
私は貴社のサービスにおける「~~~~~~~」とのコンセプトに感銘を受け、より多くのお客様に届ける営業職を志望しています。貴社サービスの○○(商品の強みなど)を通じて、お客様の△△を叶える提案をおこない、将来的には□□というような貴社と顧客の相互利益を生むような仕組みを実現するのが目標です。
スキルアップに向けた取り組みを盛り込む
新たな挑戦に向けて、もし自分なりに勉強していることがあれば、前向きな姿勢を表す根拠としてアピールできます。そのスキルを活かして「貴社の業務の○○に役立てたい」というように、入社後にどう活躍できるのか、具体的な貢献性を伝えることも可能。例えば「業界の基礎知識を自分なりに調べて学んでいる」など、ちょっとしたことでも問題ありません。転職にともなって、何か取り組んでいることがあれば、志望動機にも盛り込むのがおすすめです。
(例文)
貴社における営業職では、おもにWebサービスを取り扱っていることから、この転職を機にITパスポートの勉強をはじめました。まだ受験はしていませんが、試験合格に向けて勉強を続けると同時に、確かな知識にもとづく的確な提案にも役立てたいと考えています。
まとめ
新たな挑戦に向けた転職では、前向きなチャレンジ精神をアピールするだけでなく、いかにして志望する企業で活躍できるのか明確に伝えることが大切。そうすることで高い向上心を持ちながら、存分に能力を発揮して事業に貢献できる人材として評価されやすくなり、採用にもつながりやすくなる効果が見込めます。もし未経験からのチャレンジをお考えであれば、ぜひ本記事も参考に、転職を成功させるための対策をしていきましょう。