近年はAIが幅広い分野で急速に浸透し、例えば文章作成やイラスト制作など、身近なシーンでも積極的に活用されるようになってきています。AIは、さまざまな動作や作業などの自動化に役立つ高度な技術でもあり、この先はさらに需要も伸びていく見込み。またこうしたニーズの高さや将来的な安定性・成長性を考慮して、今後のキャリア形成に向けて、AIに携わる業種・職種への転職を検討する場合もあるでしょう。そこで今回は、AIに関わるキャリアを考える際に、知っておきたい基礎知識を解説していきます。
そもそもAI（人工知能）とは？
AI（人工知能）とは、人間の頭脳のような動きを、コンピューターで再現する情報処理技術です。例えば画像・音声・文字を認識して別のデータに変換したり、言語や情報を読み込んで適切な処理をしたりといった、さまざまな操作や判断などをコンピューター上で自動的に実行する技術でもあります。人間の脳内でおこなわれている、情報の理解・物事の予測・問題解決・学習など、知的行動をコンピューターで人工的にできるのがAIです。
AIに実現できることや必要とされる役割
AIは、日常生活のさまざまな場面で取り入れられており、身近なツールにもよく使われている技術です。例えば、清掃場所を自走してきれいにするお掃除ロボットや、ユーザーの好みにもとづくレコメンドがされる音楽・動画配信サービスなど。普段から利用する家電製品やWebサービスなどでも、AIによる自動処理機能が幅広く活用されています。
またビジネスシーンでも、AI技術の導入による業務効率化・自動化が積極的におこなわれており、少子高齢化にともなう人手不足の解消などで高い注目を集めています。具体例としては、製造ラインにおける不具合の自動検知装置や、コンピューター上で顧客からの問い合わせに応対するチャットツールなど。人間の手を介さない動作や、的確な対処の自動的な判断など、ビジネスシーンではAIによって業務遂行をスムーズにする効果に期待されています。AIを使って作業工程の省略・短縮を図ることで、さらなる生産性の向上や、より有効な人材活用などを目指す企業も多く見られます。
転職市場におけるAI人材の需要は高い
AIは、身近な日常生活からビジネスシーンまで、あらゆる場面においてニーズが高まっています。数多くの企業でも、AIを活用した商品開発や業務体制を推進する動きが見られており、AI人材の需要もどんどん増えてきている状況。各種システム開発を手がけるIT企業はもちろん、AIによる新規事業や環境改善などを目指す、幅広い業界でAI人材が求められています。
さらにAIは、非常に高度かつスピード感のある技術革新などの背景もあり、世界的に人材が不足している分野でもあります。AIに精通した人材の必要性が高いなかで、そもそも人手の供給も足りていないのが現状です。このように転職市場としても、AI人材は重宝される存在として、高く評価されやすい傾向にあります。
AI分野での転職を目指すのに役立つ知識やスキル
AI人材としては、システムを開発するエンジニアをはじめ、ビッグデータ解析などを手がけるデータアナリスト、営業、コンサルタントなどのさまざまな職種があります。エンジニアといった技術職はもちろん、営業やコンサルタントなどの仕事でも、当然ながらAI関連の知識は必要とされます。では実際にAIに携わる分野で転職を考える場合に、あらかじめ身につけておくことで活躍につながる、知識やスキルの一例をご紹介します。
機械学習やディープランニングの仕組み
大前提として押さえておきたいのは、AIの代表的な技術でもある、機械学習やディープラーニングの仕組みです。機械学習とは、膨大なデータをもとに法則性や傾向などを分析して、必要な処理の判断や実行をおこなう技術を指します。さらにその機械学習のなかでも、より幅広い視点を持って、自動的に複雑な対処をできる技術となるのがディープラーニングです。いずれもAIの主要技術となっており、さまざまなツールの開発や提案などには、それぞれの仕組みを十分に理解しておく必要があります。
プログラミング
特にAIエンジニアを目指すのであれば、当然ながらプログラミングの知識・スキルは必須となるなかで、基本として覚えておきたい言語となるのがPython（パイソン）です。Pythonは、AIツールのプログラミングのフレームワークやライブラリが幅広く揃った言語で、機械学習で利用されやすい特徴があります。またPythonは、初心者でも比較的理解しやすいコードでもあり、AIエンジニアの基礎力として身につけておきたい言語です。
数学的知識
AIのプログラム・データ解析・予測モデルの作成などには、数学的な知識が求められます。なかでもAIの技術活用で欠かせないのが、線形代数・微分積分・統計・確率とされています。いずれもAIのアルゴリズムの理解などにつながる知識でもあり、参考書などで習得しておくのがベストです。
ITインフラ関連
AI開発では、効率的に作業を進めやすい点から、Microsoft Azure・AWS・Google Cloud Platformなどのクラウドサービスを使用するケースが多く見られます。これらのクラウドサービスは、拡張性や処理能力などが高い点から、AI開発では欠かせないITインフラにもなっています。
AIエンジニアへの転職に向けた難易度は？
AI分野のなかでも、もしエンジニアへの転職を目指すのであれば、実際にはどの程度の経験や技術が必要なのか見てみましょう。
IT業界の経験がない場合
IT業界でのエンジニア未経験から目指す場合、専門のスクールなどに通って、必要なスキルを習得してから転職するのが一般的です。AIは非常に高度で複雑な技術となるため、やはりIT業界での開発未経験から、AIエンジニアとしての採用を目指すのはかなりの難易度になります。
もしくはIT業界未経験からAIエンジニアを目指すのであれば、まずはプログラミングやシステム開発の経験値を積める企業に転職するのも一つの方法です。AIエンジニアの能力につながりやすい、Pythonのプログラマーやサーバーサイドエンジニアを第一段階として目指すのもよいでしょう。そしてキャリアアップの目標として、AIエンジニアを目指すのが着実なルートといえます。
ITエンジニアとしての実務経験がある場合
AIエンジニアには初挑戦となるものの、すでにシステム開発の実務経験などがある場合には、機械学習に関連するスキルが習得できていれば転職できる可能性は高くなります。加えてデータサイエンティストや、線形代数をはじめとした数学分野の知識があると、AIエンジニアとしてのポテンシャルが認められやすいでしょう。同じITエンジニアでも、AI開発に関連するスキルや知識がないと、転職は難しいのが現実です。AIエンジニアを目指すのであれば、AI開発につながる経験を積みながら、ポートフォリオの作成や専門資格の取得などを通じて技術を磨く必要があります。
まとめ
AI技術は、IT業界に限らず多くの企業で必要とされており、例えば業務改善・効率化や新規分野への進出などに向けて需要が高まっています。それにともない、AIに詳しい人材のニーズは非常に増えていますが、一定以上の知識やスキルが求められる現実もあります。裏を返せば、AIに関連する知識を磨いておくことで、転職市場では高く評価されやすい一面も。AIに携わる業種・職種への転職をお考えの際には、本記事も参考に、どのような知識を習得しておくとよいのか検討してみてください。