転職先を選ぶにあたって、避けては通れないのが応募資格であり、なかには学歴による採用基準を設けているパターンも珍しくはありません。例えば大学を卒業していれば、「大卒以上」「高卒以上」などの条件がある求人にも応募でき、選択肢としての幅は広いといえます。とはいえ、数ある求人のなかには「学歴不問」としているケースも多数。実際に、義務教育が終わった中学卒業時点から就職する場合もあり、学歴に関係なく採用をおこなっている企業も多く存在しています。そこで今回は、学歴不問の転職活動を成功させるポイントを解説していきます。
そもそも「学歴不問」に含まれる意味とは?
「学歴不問」としている求人では、日本の義務教育となる、「中学卒業」以降を条件としているのが一般的です。なかには「学歴不問」としていても、「少なくとも高卒以上」などの採用基準を設定している企業もありますが、基本的には中学を卒業していれば応募はできます。
ちなみに「学歴不問」のパターンで考えられるのは、例えば「自社での育成を前提としたポテンシャル採用」「社会人としての経験や素質などの実力重視」など、さまざまです。もちろん企業によっては、学歴を高く評価するケースもあるのは事実かもしれません。しかし、きちんと業務を遂行する能力が見込めれば、学歴に関係なく採用している企業も数多くあります。
「学歴なし」でも転職できるチャンスはある
厚生労働省が実施した調査(※1)によれば、中学卒業時点での就職希望者の内定率は79.5%(2024年3月末卒業)。さらに求人倍率は2.88倍と、中学新卒者を採用する企業も一定数存在していることがわかりました。高校や大学への進学率が高まっている昨今でも、中学卒業時点の人材を採用する企業は多く、さほど学歴を重視しないケースは多々見られています。
特に近年は、少子高齢化による労働力の減少が深刻化しており、慢性的な人手不足が社会問題になっています。こうした背景もあり、学歴だけにこだわらず、さまざまな能力を評価して採用する企業も増えてきているのが現状。多様な人材活用が進んでいるからこそ、学歴に関係なく活躍しやすく、転職のチャンスも大いにあるといえます。
(※1)厚生労働省「令和5年度「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職・就職内定状況」取りまとめ(3月末現在)」
「学歴不問」の転職を成功させるためのポイント
ここまでにも出てきているように、「学歴不問」としている求人は数多くあり、理想の職場が見つかる可能性も十分にあります。「大卒以上」や「高卒以上」などの条件がある転職先は選べないものの、「学歴不問」に限定したとしても、大幅に求人数が減るわけではありません。「学歴不問」のなかでも、きちんと自分に合った転職先を見極めることで、存分に本領を発揮しながら活躍できます。では実際に、「学歴不問」の転職を成功させるために、知っておきたい基本的なポイントをご紹介していきます。
これまでに培ってきたスキルや経験を十分に活かす
前述にも少しあるように、「学歴不問」としている求人では、社会人としての経歴を重視して採用するケースも多々見られます。もちろん学校で身につけた教養や、学習に向けて努力できる向上心なども、高く評価できる要素です。しかし実際のビジネスシーンで求められるスキルのなかには、学校教育ではなく、社会に出て経験を積むからこそ磨けるものも多くあります。
そこで「学歴不問」の職探しでは、自分の能力を存分に活かせそうな仕事を選ぶことも大切。今までに培ってきた社会人としてのノウハウをアピールすることで、採用率が高まる効果も見込めます。まずは転職に向けて、これまでの実績などの洗い出しをして、ビジネスにおける自らの強みを明確にすることが重要。徹底した自己分析からはじめてみることをおすすめします。
ポテンシャル重視の業界や職種を選ぶ
各企業で人材不足が課題となっている昨今では、学歴に関係なく、業務上のポテンシャルを見越して採用をおこなう場合も増えてきています。なかでも学歴に関わらず挑戦しやすい業界や職種の代表例としては、次のようなものが挙げられます。
<営業、サービス業>
学歴などの知識や技術よりも、顧客との信頼関係につながりやすい、コミュニケーション力をはじめとしたヒューマンスキルが求められる傾向にあります。
<介護>
特に人材不足が深刻化している業界で、なおかつ人と人との関わり合いが強く、介護職もコミュニケーション力などのヒューマンスキルが重視されやすい仕事です。必要な知識などは入社後に学べるケースも多く、キャリアを積むなかで、専門的な資格取得も目指せます。
<運送業>
トラック・タクシーなどのドライバーや配送員などは、運転免許があれば、学歴などに関係なく挑戦しやすい仕事です。普通車の運転免許があれば、入社後に大型車両や旅客車両などの資格取得を支援している場合も多く、専門スキルがなくてもチャレンジしやすい特徴もあります。
<ITエンジニア>
IT業界は、技術の進歩がどんどん進んで需要が高まるなか、慢性的に人手が足りていない状況にあります。またプログラミングやシステム開発などのITスキルは、一般的な学校教育だけで身につけることは難しく、学歴が重視されにくいのも特徴。業界全体として人材不足の傾向にあることから、入社後の育成を前提とした採用をしているケースも多く見られます。学歴に関係なく、新たにキャリアをはじめやすい仕事です。
転職エージェントを活用する
転職のプロからのサポートが受けられるエージェントサービスを使うことで、学歴に関係なく、自分の能力を十分に発揮できる職場が見つかりやすくなります。転職エージェントでは、より的確な職探しからフォローしてもらうことができ、きちんと個々の経歴に合ったベストマッチな職場を探し出せるのがメリット。なかには各転職エージェントで独自に取り扱う非公開求人もあり、個人ではなかなかリサーチできない企業に出合える可能性もあります。さらに選考対策などのアドバイスもしてもらえるので、採用率が高まるのも大きな利点です。
なお「オーダーメイド転職」では、三重県に特化したエージェントサービスを提供。三重県に根づいた地元優良企業の求人も数多く取り扱い、しっかりと希望に合った職場とのマッチングをお手伝いしています。もし三重県での転職をお考えであれば、ぜひご活用ください。
【年齢別】「学歴なし」の転職に向けたコツ
ではここからは、「学歴不問」の転職における採用率を高めるコツについて、世代別に分けて見ていきましょう。
【20代】長期活躍が見込めるような意欲を見せる
20代といえば、年齢が若い分、これから長い期間をかけてキャリアを形成できる世代です。長期的な教育計画により、将来的には組織の中核を担う人材として育てることもできるため、本人の熱意や向上心を重視した採用がされやすい一面も。また仮に10代から働いていれば、同世代の大卒に比べて社会人経験が長く、ビジネスの基本的なスキルが習得できている部分は高く評価される可能性もあります。特に20代の採用ではポテンシャルが重視されやすく、なるべく長く活躍してもらえそうな人材が求められます。より高い意欲が伝わるように、自分なりのビジョンや目標を明確して選考に臨むのがベストでしょう。
【30代】積み重ねてきた実績と業務上の能力を明確にする
30代になると、学歴に関係なく、ある程度の社会人経験を積んでいる世代です。裏を返せば、若い世代よりも学歴を除いた実力が評価されやすく、これまでに培ってきた能力をしっかりと見てもらいやすい一面もあります。つまりビジネスパーソンとして、具体的に何をしてきたのか問われやすい世代で、今までに磨いてきたスキルを十分にアピールすることで採用につながりやすくなります。社会人としてどのような実績を積んできたのか、そして今後はどう活躍できるのか、入社後の貢献性を十分に伝えることが大切です。
【40代】企業に求められる人物像を見極める
20代や30代に比べて、40代は即戦力としての活躍が求められやすい世代です。もちろん、新たな分野に挑戦してみるのも一つの手ではあります。とはいえ特に学歴に関係なく、若いうちからキャリアを築いてきたのであれば、その今までの経歴が活かせる業界や職種で転職したほうが成功率は高いでしょう。40代といえば長年の経験があるからこそ、例えば熟練の技術力やマネジメントなど、他の世代にはない能力が評価されやすい一面もあります。志望する企業ではどのような人材が必要とされているのか、しっかりと研究をしたうえで、自分の強みがどう活かせるのか入社後の活躍イメージを明確にしましょう。
まとめ
近年は、各企業で幅広い人材の活用が浸透してきており、学歴が問われない求人も増えてきています。またビジネスに必要なスキルは、実際に社会人になってから身につけられるものも多く、学歴よりも実践的な能力が評価されやすいケースも少なくありません。「学歴に自信がないから」といって諦めるのではなく、一度過去を振り返りながら、自分の武器は何なのか見極めてみることも大切。こうして自分自身の経歴を見直してみることで、転職に向けた糸口が見つかることもあります。まずは自らの評価を明確にして、今後どのようなキャリアを歩むべきなのか、将来をイメージすることからはじめてみましょう。