
AIの技術発達が著しい近年では、さまざまな課題解決にも役立つ対話型ツールなども台頭し、非常に高性能かつ人間の手を介さないサービスも増えてきています。このようにAIの技術がどんどん高度化し、まるで人間のような働きも見られることから、世間一般では「将来は仕事がなくなるのでは」といわれることも。実際に数多くの業務がAIによって自動化・省略化されており、「もしかしたら何年後かには自分の仕事はないかも」など、不安を抱いてしまうこともあるかもしれません。そこで今回は、AIに代替する可能性が高い仕事と、反対に今後も残っていくことが予想される仕事について解説します。
人間の手を介さなくてもいいのはなぜ?AIに代替されやすい仕事の特徴

そもそもAIとは「人工知能」を意味する言葉で、人間の脳内における活動を模倣したシステムを指します。いわば人間の頭脳と同じような働きを再現したシステムで、例えば物事を学習したり指示を理解して実行したりなど、さまざまな知的行動ができるものです。その他にも、AIにできることの一例としては、次のようなものが挙げられます。
- 大量のデータを読み込んで分析し、今後の動向などを予測する
- 画像からさまざまな情報を認識して、抽出またはデータ変換する
- 言葉を理解して翻訳したり、文章にまとめたりする
- 音声を聞き取り、データへの変換や指示の実行をする
- 与えられた指示を理解し、正確な処理をする(記録・操作・異常検知 など)
このようにAIは、法則性を見出したり、一定のルールを読み取って実行すべきことを判断したりするのを得意としています。そのため人間に替わって、AIでも対応しやすい仕事としては、以下のような特徴があります。
- 同じような作業を繰り返すルーティンワーク
- データを読み取って、一定の条件に沿った処理をするパターン化された作業
上記のように、定型化できたり、データをもとに処理を実行できたりする業務は、AIに代替されやすい傾向にあります。
AIが苦手とするのはどんなこと?今後も残りやすい仕事の特徴
AIは人工知能とはいえ、人間とまったく同じ思考を完全に再現させることはできません。基本的にはさまざまなデータをもとに、どのような処理をすべきなのか判断したり、ロジックを組み立てたりするのを得意としています。そのためAIが苦手とする思考をともなう、次のようなことが求められる仕事では、今後も人間の手を介す必要があるでしょう。
- 人間の行動や言葉から要望を汲み取る
- 人間の感情に寄り添ったコミュニケーションをする
- 柔軟な意思疎通によって信頼関係を構築する
- ゼロの状態から新しいアイデアを創出する
- その場の状況に応じて臨機応変に対応する
- 急なトラブルや事態の変化に対処する
AIでは、基本的には今までに蓄積したデータを活用し、さまざまな処理や動作をしていきます。そのため人間の複雑な感情を汲み取ったり、その場で物事を判断したりするのは苦手としています。そこで上記のように人と人との関わり合いや、現場での柔軟な発想やひらめきが欠かせない業務は、この先も残りやすいといえるでしょう。
AIに置き換わる可能性が高い業種・職種

ではここまでに見てきた、AIの性能や得意分野を踏まえて、人間による作業や判断などが省略されやすい業種・職種の一例を解説していきます。
飲食業
もちろん業態にもよりますが、例えばファストフードやファミリーレストランのような、来客・回転数の飲食店におけるキッチン・ホール業務は画一的になりやすい傾向にあります。実際に近年の飲食店では、セルフでのオーダーやレジ、配膳ロボットなどのシステムが導入され、さまざまな業務を無人化しているケースが増えています。またキッチン業務においても、調理ロボットなどのAI活用が進んでおり、海外などでは料理提供から精算まで自動化した無人店舗も登場しています。常連との会話などの接客や、味にこだわった手づくり品などの複雑な調理が求められない飲食店では、今後どんどんAI化が進んでいく可能性が見込まれます。
サービス業
サービス業は、業態によってはルーティン化しやすい仕事でもあり、AIによって省略できることが予想される業務も多く存在します。実際に、近年でAI活用が進んでいる業務の例として、次のようなものがあります。
- スーパーやコンビニなど小売店の販売
- ホテルのフロント
- オフィスビルや公共・商業施設などの受付
- 銀行・郵便局の窓口
- 警備員 など
あくまで一例ではありますが、上記のような職種では、パターン化された対応が多くなりやすく、AIに代替しやすい傾向にあります。一方で、例えばアパレルなどのファッション雑貨や家電など、顧客への柔軟な提案や専門的なアドバイスといった、状況に応じた複雑な接客が必要とされます。このように臨機応変なサービス性や心遣いなどが重視されるサービス業は、AIに替わらないまま残る可能性が高いでしょう。
製造業
固定された作業を繰り返すような、工場の生産ライン作業や機械オペレーションなど、特に製造現場ではAIに置き換わる業務がどんどん増えています。また製品の不良や異常なども、一定のルールに沿った判断がしやすく、AIに代替されているケースが多く見られます。産業ロボットなどの導入も進んでおり、さまざまな作業の自動化が進んでいる製造業では、現場での生産業務はAIによる省略が進んでいく見込みです。
物流業・輸送業
物流業・輸送業も、製造業と同じように、決まった作業や操作を繰り返す仕事が多い業種です。例えば、次のような職種では、AIによる自動化が進む可能性が高いでしょう。
- 倉庫作業員(荷物の入出荷、在庫管理 など)
- 荷物の配送員
- 電車やタクシーの運転手 など
配送員や運転手などの輸送業務では、車の操作をともなうためイメージしにくいかもしれませんが、実際に自動化が進んでいる分野でもあります。国内でいえば、大手宅配会社で無人配送ロボットが導入されていたり、さらに海外では運転手のいない無人タクシーが運行されていたりするケースも見られます。
オフィス系
事務職をはじめとしたオフィス系は、定型化できる処理が多くなりやすく、AI活用が進みやすい傾向にあります。具体的な一例としては、次のような職種が挙げられます。
- 一般事務・経理事務・医療事務・行政事務・保険事務
- データ入力
- カスタマーサポート など
実際に、上記にもあるカスタマーサポートでは、AIによるチャットボットを取り入れているケースが多く見られています。また各種事務では、決まったフォーマットへの入力作業やパターン化された問い合わせ応対など、マニュアル的に処理できる業務も少なくありません。このようにルーティン化しやすいオフィス系の仕事は、今後AIに置き換わる可能性が高いでしょう。一方で例えば顧客ごとの柔軟なサポート対応が求められるような、営業的な側面を持つ事務職などは、AIでの代替が難しく今後も残りやすいといえます。
AIが発達しても需要のなくなりにくい業種・職種

ではここからは、AIのシステムによる対応が難しい業務や、反対にAI導入によってニーズが高まりそうな業種・職種の一例をご紹介していきます。
医療・福祉
医師や看護師は、症状や健康状態などによって柔軟に処置を判断する必要があり、なおかつ救急患者や容体の急変といった緊急事態に対応していく仕事です。
さらに福祉分野でいえば、介護スタッフや保育士などは、常に人と人との関わり合いの中で状況を判断しながら業務を進めていかなければなりません。また人と接しながら、相手が何を求めているのか細やかに汲み取りながら、臨機応変にケアしていく仕事でもあります。またカウンセラーも、一人ひとりの状態をしっかりと読み解きながら心理的なサポートをしていく仕事で、人との密接なコミュニケーションが求められます。
いずれにしても、AIのようにパターン化して処理していくのが難しい職種であり、今後も人間の手を介さなければならない仕事として残っていく見込みです。
教育系
教師をはじめとした教育分野の仕事も、人と人との密接な関わりや柔軟な状況判断などが求められやすく、AIに代替するのは難しいといえます。例えば塾・専門学校・セミナー・研修など、さまざまな教育現場で必要とされる講師業務は、AIに置き換わらず残っていく可能性が高いでしょう。その他にも人に教える仕事として、インストラクターやコーチなども、今後も比較的残りやすいといえます。
広告・メディア系
広告・メディア系は、いわば「0から1を生み出す」仕事が多く、まったく何もない状態から新しいアイデアを創出していくことが求められます。このようなクリエイティブな仕事は、AIに代替するのは難しく、人間の柔軟な思考や斬新なひらめきが欠かせません。具体例としては、次のような職種があるでしょう。
- 制作ディレクター、アートディレクター
- デザイナー
- コピーライター
- イラストレーター
- フォトグラファー
- メディア編集
- 撮影・映像制作
- アーティスト など
上記の他にも、広告・メディア系におけるクリエイティブ業務は幅広くありますが、いずれもAIに置き換わらずに今後も残っていく可能性が高いでしょう。
コンサルティング
コンサルティングといえば、経営分野をはじめ、IT・組織開発・財務・キャリアなどさまざまな種類があります。いずれにしてもクライアントの状況から課題を発見し、その解決に向けた対策を練っていく仕事で、高い専門性や柔軟性が求められます。もちろんデータを活用する部分もありますが、コンサルティングのような相談業務では、これまでの経験値や専門知識にもとづいて対応していくことも多いでしょう。このように臨機応変かつ人間的な知見が必要とされやすいコンサルティングの仕事は、AIによる代替が難しく、今後も残りやすいといえます。
企画
新たな商品やサービスの開発や事業企画などは、柔軟な発想力が求められやすく、AIによる自動化は難しい仕事です。近年のトレンドや市況などを敏感に読み取りながら、常に幅広いアンテナを張ってアイデアを創出していく必要があり、AIに代替していく可能性は低いといえます。
マネジメント系
現場の状況を読んで指示を出したりスタッフを指導したりなど、人との関わりが深いうえに柔軟な対応が求められるマネジメント系も、AIへの代替は考えにくいでしょう。仮に製造業でも、生産現場の作業進捗などを管理するマネジメント業務なら、AIに置き換わらず残っていく可能性が高いと予想されます。積極的なコミュニケーションで組織を取りまとめたり、チームの各メンバーに応じたフォローをしたりなど、人間の感情に寄り添って対処していく場面も多く出てきます。このように高いリーダーシップや対人スキルが必要とされる業務は、この先も確かな需要があるといえます。
エンジニア
エンジニアのなかでも、AIに関連する仕事は、この先のニーズが高まっていく見込みです。そもそもAIをコントロールできなければ、さまざまなシーンでの活用はできません。なおAIの普及にともない、今後の需要が増えることが予想される職種としては、次のような例が挙げられます。
- データサイエンティスト(AIに読み込ませるデータの手配)
- AIエンジニア(AIを取り入れたシステムの開発・動作環境の構築)
- プロンプトエンジニア(生成AIへの指示の最適化)など
上記のようなAIの技術活用に関する専門家は、この先の重要な存在として重宝されるでしょう。
まとめ
AIは、人間の頭脳の動きに近い性能を持つ高度な技術で、さまざまな業務の効率化・自動化に活用されています。実際に現在では、AIを取り入れることで、無人対応ができる仕事も多く出てきています。一方でAIは完全に人間の思考を再現できるわけではなく、対応できない業務も多数存在しています。もしAIによる可能性を考慮して、今後のために転職を考えるのであれば、本記事も参考にして将来の方向性を検討してみてください。