寮付きの求人では、収入も住まいも確保できる一石二鳥な魅力があり、例えば新しく就職するにあたって一人暮らしをはじめたい時などには特に便利です。社会人生活のスタートと同時に、心機一転して実家から離れて独り立ちしたい場合には、寮完備の職場を候補に入れて考えてみるのもおすすめできます。このように仕事も住宅も手に入る寮付きの求人では、もちろん多くの利点はあるものの、実際の生活に向けては注意しておきたい部分もあります。そこで今回は、寮付き求人で知っておきたいメリット・デメリットをご紹介していきます。
社員寮で見られる代表的な住居の種類
まず社員寮ではどのような生活ができるのか、住居の種類から簡単に整理していきます。職場によって社員寮の形態はさまざまなので、入社前にあらかじめチェックしておくのが無難です。
シェアハウスタイプ
住む部屋自体は個人で使えるものの、自分の個室にトイレやキッチンなどの設備がなく、同じ建物内の入居者同士で共有となるパターンです。シェアハウスのように生活するイメージで、同じ職場の仲間と顔を合わせることが多くなりやすい生活環境となります。また寮によっては、建物内に食堂があり、無料または格安で食事を済ませることができるケースなどもあります。できるだけ生活費を抑えたい時には便利です。
完全個室タイプ
一般的な賃貸物件と同じように入居できるタイプで、居室内に住居設備がきちんと揃っているパターンです。寮付き求人のなかでも、「借り上げ社宅」となっている場合には、完全個室となるのが一般的に多く見られます。ちなみに借り上げ社宅とは、会社で賃貸物件を借りて、その部屋を社員に貸し出す形式の寮です。いわば会社から部屋を間借りするようなイメージで、通常の賃貸物件と同様に生活しやすいメリットがあります。プライベートの空間をしっかりと確保できるうえに、勤務先を出れば同じ職場の仲間と接することもほぼないため、仕事とのメリハリが付けやすいのも特徴でしょう。
相部屋タイプ
かなりまれではありますが、普段過ごす部屋を複数名で共有するタイプで、学生寮やドミトリーとほぼ同じようなイメージとなります。リゾートバイトなど、期間限定の住み込みの仕事で見られる傾向にあり、長期雇用の求人ではあまりないタイプの寮です。
寮付き求人ならではの魅力がたくさん！寮完備の職場で働くメリット
寮付き求人なら、そもそも仕事をはじめると同時に、住まいを確保できるのが大きなメリットといえます。加えて寮付きの職場で働くことで、引越しや生活面でのさまざまな利点にも期待できます。
手軽に一人暮らしをスタートできる
自前で部屋を借りるためには、ただ物件を探して契約すればいいだけではなく、実際にはいくつかのハードルがあります。一般的な賃貸物件で一人暮らしをする際には、仲介手数料や敷金・礼金など、物件契約までの初期コストが発生するのが通常です。こうした入居時の初期コストは、数十万円ほどの金額になるケースが多く、まとまった費用を用意できないとそもそも物件の契約ができない場合が基本。また賃貸物件の契約時には、家賃の支払い能力を確認する入居審査があり、通過しなければ部屋を借りることはできません。ちなみに過去に家賃やクレジットカードの滞納歴などがあると、賃貸物件の入居審査に通らない可能性が高くなります。
一方、職場で準備される寮であれば、基本的には物件の契約や入居ができない心配はいらないでしょう。初期コストの予算も必要ないので、経済的に厳しい段階でも、一人暮らしをはじめられるメリットがあります。
入居までの手続きが少なく準備が楽
すでに入居する部屋が用意されているため、自分で物件を探したり契約したりなど、基本的に賃貸にともなう手続きの手間は省けることも多いのがメリットです。また寮によっては、あらかじめ最低限の家具・家電が揃えられていることもあり、引越しの作業負担が少なく準備がしやすいケースも。例えば遠方への転職でも、比較的スムーズに引越しがしやすく、なかには業者の手配なども含めて支援してもらえる場合もあります。特別なこだわりがなかったり、入居までの手続きをなるべく省略したかったりする時にもおすすめです。
日々の生活に必要な固定費を節約できる
勤務先によって異なりますが、多くの社員寮では、家賃が格安または無料になっていて生活費が抑えやすくなっています。なかには水道光熱費なども含めて、職場で負担してくれるようになっているケースも。家賃をはじめとした住居コストは、日々の生活費のなかでも比重の大きい固定費のため、寮付きの職場で働くことで大幅な節約ができる可能性も考えられます。「これから新しく就職するからまだお金がない」「将来のためにできるだけ貯金したい」などの場合にも、寮付き求人がおすすめです。
通勤の負担も少なくできてストレスフリー
自社の職場で活躍してもらうための寮なので、勤務先に通いやすい立地となっているケースが多く見られます。電車などで数駅ほどの距離だったり、なかには徒歩で通勤ができたりする場合もあります。職場によっては、社員寮と職場との送迎付きになっているパターンも。会社の福利厚生として、ストレス感なく通いやすくなっており、通勤面で疲弊する心配も少ないメリットがあります。
同じ職場で働く仲間との親睦が深まる場合も
寮の形態にもよりますが、例えばシェアハウスタイプのような共同住宅なら、同じように入居している仲間と接する機会も増えやすくなります。部屋が近くて顔を合わせやすかったり、食堂などの共有スペースで一緒の時間を過ごしたりするうちに、仲良くなれるケースもあります。このように仲間意識が高まりやすく、コミュニケーションや人と行動をともにするのが好きな場合にも、寮付きの職場の選んで楽しく生活できる可能性も考えられるでしょう。
寮付き求人で困ることはある？寮完備の職場で注意しておきたいデメリット
寮付き求人ではさまざまなメリットがあるなかで、あらかじめ気を付けておきたい、以下のようなデメリットも考えられます。こうした注意点も考慮のうえで、寮完備の職場にすべきか決めていくのがよいでしょう。
自分の好みの部屋を選べない
すでに会社で準備している寮となると、希望の設備や間取りなどにはなっていない可能性は高くなります。例えば広さや収納が足りなかったり、部屋が古かったりなど、いざ入居してみると住みにくく感じてしまうことも。また借り上げ社宅であれば自分で物件を選べるパターンもありますが、会社があらかじめ用意している範囲内に限定されたり、選択できる部屋の条件が決められたりしている場合も多くなります。いずれにしても、自由に好みの部屋を選びにくく、場合によっては不便に思えるケースもあります。
プライバシー面が気になる可能性もある
通常の賃貸物件と同じように入居できる、完全個室タイプであれば問題はありませんが、シェアハウスタイプのような寮ではトイレ・浴場・台所などが共有になるケースがあります。仲間との共同生活となるため、生活に必要な設備を自由に使いにくかったり、プライベートが確保しにくいように感じたりする可能性も。また完全個室タイプであっても、例えば職場の同僚と部屋が隣同士になる場合などもあり、生活音や人の出入りが気になってしまうことも想定されます。寮付きの職場では、同じ職場で働く仲間同士の距離が近くなりやすい分、プライバシーに敏感な性格だと住みにくく思える場面が多く出てくるかもしれません。
生活上のルールが厳しく決められているケースもある
もちろん一般的な賃貸物件でも、共同住宅なら騒音や建物の使い方など、それぞれの入居者が快適に生活するためのルールが設けられています。それが職場の寮になると、さらに厳しいルールが決められている場合もあり、自由に過ごしづらい可能性も考えられます。特にシェアハウスタイプのような寮では、外出できる時間帯（門限）や掃除当番など、細かなルールがいくつも設定されているケースも。また自分の部屋に知人や友人を招きづらかったり、なかには「家族のみ」などに限定されていたりするパターンもあり、少し窮屈に感じてしまうことも想定されます。
仕事を辞める時には部屋を出ていく必要がある
従業員のための寮なので、当然ながら退職する際には部屋を出ていく必要があり、仕事を辞める前に新たな住まいを確保しておかなければなりません。引越し先を決めないまま離職してしまうと、次の家を手配するのが間に合わず、ホームレス状態になってしまうリスクも少なからずあります。寮付きの職場から転職する際には、きちんと自分で自宅を用意できるように、物件の契約など事前に進めておきましょう。また次の勤務先で働くまでに期間が空く場合には、収入がない状態で物件を借りることになるため、入居審査に通過できるように準備しておくことも重要です。なお収入がない状態でも、一般的には一定額の貯金や転職先の内定通知書などで入居審査は通るので、あらかじめ心がまえをしておきましょう。
まとめ
寮付き求人では、引越しや物件契約などの手間や費用面を軽減しやすいメリットがあり、住居の形態によっては仲間とのコミュニティが作りやすい魅力もあります。一方で職場から提供される住居となる分、寮のタイプ次第では、さまざまな面で自由度は下がりやすい注意点も。とはいえ寮完備の職場なら、経済的に助かりやすく、比較的コストパフォーマンスよく生活しやすいでしょう。寮付き求人に興味がある際には、ぜひ本記事で見てきたメリット・デメリットも参考にしつつ、自分自身に適しているのかどうか検討してみてください。