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ボーナスが出ない会社ってどう?賞与カットの理由や対策

ボーナスが出ない会社ってどう?賞与カットの理由や対策

賞与は、年収額を大きく左右する大切な収入源でもあり、実際に働く職場における待遇として非常に重要なもの。賞与を含めた賃金面は、日々の生活基盤の支えでもあり、経済的な安定に向けて欠かせないチェックポイントです。とはいえ正社員でないと支給されなかったり、企業によっては制度を設けていなかったりなど、賞与は必ずしも支給されるわけではありません。そこで今回は「賞与なし」の職場の実態として、考えられる理由や対策、転職先として選ぶ場合の注意点などを解説していきます。

そもそも賞与とは?出ないと違法になる?

賞与

労働基準法や厚生労働省による定義では、賞与は労働者の勤務成績や経営状態に応じて、金額の定めなく特別に支払われるものとされています。つまり賞与の有無は、企業ごとの判断で自由に決定でき、そもそも従業員に対して支払わなくても問題はなく違法でもありません。また支給方法も、各企業の裁量で設定できるため、会社によって金額・時期・回数などには違いがあります。

なお賞与に関しては、就業規則や労働条件通知書などで、「○月と△月の年2回支給」というように定めているケースも多々見られます。ただし多くの場合、「やむを得ない事情や業績等による」など、状況次第で支給の有無や方法が変動する旨も併記されているのが一般的です。例外として「毎年○月と△月に□ヶ月分支給」など、金額も含めて支払い方法が明示されている際には、法的には賞与ではなく通常賃金とみなされます。こうした通常の賃金と同等の扱いができる賞与では、支給されないと違法となることがあります。

賞与が出ない企業の比率は全体の2割程度

賞与は必ず支給されるわけではなく、実際に支払いのない企業も一定数は存在しています。なお厚生労働省の調査によれば、賞与を支給しなかった企業比率としては、2024年度夏季では約27%(※1)、年末では約22.2%(※2)。全体の2割程度の企業では、賞与を支給していない結果となりました。

このように大半の企業では賞与を支給しているものの、何らかの事情からボーナスカットをしているケースも見られます。「賞与がないから」といって、必ずしも他社に比べて待遇が悪いわけではなく、ボーナスカットがされる背景にはさまざまな原因が考えられます。

(※1) 厚生労働省「毎月勤労統計調査-令和6年9月分結果速報及び令和6年夏季賞与の結果」
(※2) 厚生労働省「毎月勤労統計調査-令和7年2月分結果速報及び令和6年年末賞与の結果」

ボーナスカットがされている場合に想定される原因は?

ボーナスカット

では実際にボーナスが出なかったり、そもそも賞与の制度がなかったりする理由として、どのようなケースがあるのか詳しく見ていきましょう。

売上規模や利益が少ない

ボーナスカットの背景でよくあるのが、業績悪化や景気・社会情勢の影響から、売上が伸びずに賞与に回す利益が出ていないケースです。もしくは組織としての営業規模が小さく、大きな売上がないことから、ボーナスカットによって経費を抑えているパターンもあります。また新設されたばかりのベンチャー企業などでは、経営の安定に向けて、従業員のボーナス以外の部分に資金を回していることも。こうした場合には、状況次第では、今後賞与が出る可能性もあります。

年俸制やインセンティブなどで賞与の支給分もまかなっている

賞与として明示していないものの、毎月の給与などでボーナス分も含めて支払っているケースもあります。仮に年俸制であれば、月給+賞与を想定した年間支給額を設定して、月ごとに決まった賃金を支払っているパターンです。また「賞与=インセンティブ」として、個人の成果や実績に応じて、例えば「毎月」や「四半期ごと」などの時期を決めて支給している場合もあります。このように一般的な賞与とは形態は異なるものの、実質的にはボーナスとして受け取っていることも少なくありません。

業界全体として賞与の支給水準が低い

場合によっては、業界的に賞与の制度があまり根付いておらず、ボーナスが設定されていないケースも見られます。実際に厚生労働省の調べによると、飲食サービス業や生活関連サービス業(美容・観光・娯楽・冠婚葬祭など)では、賞与を支給した事業所の比率は5~6割。なお全業種の平均支給率は7割以上となっており、飲食サービス業や生活関連サービス業では、他の業界に比べて賞与水準は低めといえます。こうした業界的な文化から、そもそも賞与が一般的な待遇とされていない場合もあります。

労働組合がなく賞与に関する交渉がされていない

労働組合は、賞与をはじめとした労働条件に関する交渉や改善活動などをおこなう団体です。こうした労働組合の取り組みから、賞与を設けている企業も多く見られます。反対に、労働組合が結成されていない場合には、賞与などの労働条件の提言がされておらず、ボーナスが出ないままになっているパターンもあります。

各企業が定める賞与の支給要件を満たしていない

多くの企業では、勤務状況や実績など、従業員の働き方による支給要件を設けているケースが見られます。よくあるのが勤続期間に応じた支給要件で、例えば「入社後6ヶ月以降」などの規定があると、入社直後では賞与が出ないことも多々あります。また成果や実績にともなって賞与を支給していることもあり、各企業の定める基準に達していないと、ボーナスが出ないことも考えられます。賞与があると聞いていたにも関わらず支給されない時には、就業規則などを一度見直してみるとよいでしょう。

「賞与なし」でも経済的に安定するためのポイント

賃金について考えるビジネスパーソン

賞与がない分、収入の確保が厳しく、どうしても経済的な不安につながりやすい一面もあります。では賞与が出ない場合には、どのように生活資金を考えていくべきなのか、具体的な対処法も見ていきましょう。

昇給・昇格や能力に応じた手当につながるスキルアップを図る

少し時間はかかるかもしれませんが、賞与が出ないなりに年収アップを目指すには、毎月の給与が上がるように工夫していく方法があります。企業によっては、階級や保有資格に応じて、昇給や別途手当の支給対象になるケースも。また役職に就くことで、基本給が高くなるのはもちろん、新た手当が加算される場合もあります。もし昇給・昇格や手当に関わる、明確な評価基準や規定などが設けられているようであれば、その内容に沿ってスキルを磨いていくのも一つの手段です。

資産運用や貯蓄でまとまった支出や将来に備える

賞与がなくても、きちんと生活をやりくりできるようにしておくためには、現時点で手にできる収入をうまく管理しておくことも大切です。場合によっては、例えば日常生活でいえば、「賞与が出ると思ってボーナス払いにしている買い物がある」などのケースも考えられます。その他にも、「基本は毎月の給与から使って、ボーナス分は貯金」などのパターンもあるでしょう。例年は賞与が出ていても、急な事態でボーナスカットになることも珍しくありません。少しでも何かの備えをしておきたいと考えるなら、日ごろの給与から貯蓄しておくか、資産運用で収益ができるようにしておくのもいい方法です。

副業で新たな収入源を確保する

なるべく年収アップをして、収入的にも安心したいと考えるなら、自分の得意分野やスキルを活かして副業する方法もあります。もちろん勤務先の規定にもよりますが、アルバイトなどのWワークで稼ぐなどもよいでしょう。もしくは自宅でできる副業で、お小遣い稼ぎをしてみるのもいいかもしれません。最近では自宅のパソコンやタブレットなどを使ってできる、Web関連の副業も多くあるので、新たな収入源として検討してみるのもおすすめです。

転職して年収アップを目指す

もし賞与がなく、収入面でも不安があるなら、現職よりも年収アップが目指せそうな仕事に転職する方法もあります。例えば今までの経験を活かしてポジションアップができたり、平均的な給与水準が高い業界にチャレンジできたりする場合には、転職を通じて年収アップができるケースも。また今までの実績も確認して、きちんと賞与が出る企業を選ぶことで、十分なボーナスにも期待できます。

「賞与なし」の転職先を志望する時に確認したい注意点

転職時には、希望する業務内容や勤務条件は揃っているものの、「賞与がないから悩む……」などのケースもあるでしょう。もちろん「賞与なし」の職場とはいえ、労働環境が悪いとは一概にはいえませんし、むしろ他の部分で手厚い待遇などが整っている場合もあります。ただし賞与がない分、どうしても収入面には懸念が出やすいため、あらかじめ次のような部分には十分に注意しておきましょう。

給与形態の詳細

企業によっては賞与が出ない代わりに、基本給を高めに設定して、十分な年収を確保できるように調整しているケースもあります。その他にも基本給自体はさほど高くないものの、例えば職能手当や営業手当など、月ごとに一律に加算する手当によって毎月の給与を補填しているパターンも。賞与が設定されていない場合には、こうした毎月の給与形態の詳細まできちんとチェックしておくと、きちんと希望の収入が得られそうかイメージできます。

福利厚生の充実度

もし賞与が出なくても、例えば給与以外の各種手当や費用負担などにより、経済的な安定が図れる場合もあります。賞与がない代わりに、例えば住宅補助・社宅・食事手当・家族手当など、生活基盤に関わる福利厚生で保障しているケースも見られます。たとえボーナスは出なくても、他の福利厚生が充実していることで、しっかりと日々の安心につながる収入を手にできることもあります。

収入アップが目指せる各種制度

成果重視の企業では、賞与に代わって、評価や実績に応じて収入アップが目指せる制度を整えているケースも見られます。賞与ではなく、インセンティブや昇給・昇格などのチャンスを大きくして、個々の成果に見合った給与が得られるようにしている場合も少なくありません。賞与がない時には、こうしたボーナスの代用になる制度がないか、しっかりとチェックしてみることも大切です。

まとめ

ボーナスが出ないと、基本給に対するプラスアルファがない分、年収面で不安に感じてしまうかもしれません。しかし賞与がないからといって、他社に比べて年収が低くなるとは一概にはいえませんし、場合によっては毎月の給与や待遇にボーナス分が含まれているケースもあります。もちろん企業によって、賞与が出ない理由はさまざまで、会社としての経営状態の影響から一時的に支給されないなどのパターンもあります。状況次第ではありますが、もし賞与がなく収入的な懸念を感じる際には、ボーナスが出そうな職場に転職するのも一つの方法です。賞与が出ずに悩んでいる時には、ぜひ本記事も参考にしつつ、今後どう対処していくべきか検討してみてください。