例えばなかなか思うような働き方ができなかったり、現状の環境が合わずに思い悩んでいたりすると、どうしても仕事に対するストレス感も大きくなってしまいますよね。そうした際には、部署異動によって状況を変えることで、心身の負担を減らしてストレスを軽減する方法を思い浮かべる場合もあるでしょう。とはいえ企業内での人員配置は、事業戦略や経営方針などにともなって実施されており、なかなか簡単にできるものではない一面も。そこで今回は、仕事のストレスによって部署異動を希望する時に、知っておきたい伝え方のコツや注意点などを解説していきます。
ストレスが原因で異動したい時の対処法は?
前述にもあるように、基本的に人員配置は、組織全体としての人事計画に沿っておこなわれています。仮にどこかの部署で異動が発生した場合には、新たに人員を補充したり、配置転換をしたりなどの必要が出てくるでしょう。このように部署異動には、大きな労力や変化がともなうこともあり、なかなか個々の従業員の希望どおりにはいかないケースも珍しくありません。そこでまずは、部署異動の希望を出す前に考えておきたい、ストレスを軽減するための対処法から見ていきましょう。
まずはストレスの原因を見極める
大前提として、そもそも何が原因でストレスを感じているのか、自分のなかで見極めることが大切。仮に「どうしても気の合わない同僚がいる」など、人間関係がストレスになっている場合、自らの考え方や相手への接し方次第で解決できる可能性もあるでしょう。その他にも、業務量のキャパオーバーや評価の度合い、担当する仕事内容との相性など、さまざまなストレスの原因が想定されます。ストレスの原因によっては、わざわざ部署異動をしなくても対処できるケースも少なくありません。まずは何が自分にとっての負担や不満につながっているのか、しっかりと分析してみることをおすすめします。
周りの仲間や人事担当に相談してみる
自分のなかでストレスの原因がわかりそうなら、上司や先輩、同僚などに相談してみるのもよいでしょう。周りの仲間に相談してみることで、自分にはない視点からのアドバイスを受けて、解決に向けた新たな気付きが得られることもあります。一人で悩みを抱え込んでしまうと、どうしても考え方が一辺倒になりがちです。客観的な意見を聞くことで、ストレス感を軽減するための解決策が見つかるケースもあるので、何か悩みがある時には素直に打ち明けてみるのもいい方法です。
もしくは人事などの担当部署に相談して、部署異動ができる可能性はあるのか、あらかじめ確認してみるのもいいかもしれません。仮に配属先のチーム自体に問題がありそうなら、人事的に配慮してもらえるパターンもあります。なかなか異動以外の解決策が見つかりそうになければ、人事の担当などに直接相談してみることも考えてみましょう。
専門の相談窓口を活用する
企業によっては、メンタルヘルス専門の窓口や、従業員のストレス対策に向けた産業医などを設置しているケースも見られます。こうした相談窓口がある際には、ストレス改善の対処法として活用してみるのも一つの方法です。専門家からのアドバイスをもらうことで、ストレスを軽減するための具体的な解決方法が見つかる可能性も高くなります。場合によっては企業側に対して、適切な措置をおこなうように指導してもらえることもあります。
仕事のストレスで部署異動を希望する時の伝え方
ストレス改善に向けた対処法を考えるなかで、やはりどうしても部署異動が必要となる場合もあるでしょう。そうした際には、上司などに希望を出すことで、部署異動を検討してもらえるケースもあります。ただし伝え方には十分に注意しておかないと、なかなか部署異動の必要性を理解してもらえないことも。部署異動の希望を出す時には、以下のような伝え方を意識しておくことも重要です。
部署異動を希望する根拠やビジョンを明確にする
部署異動には、大がかりな手続きなどがともなうことも多く、ただ漠然とした理由だけでは簡単に認められないことも少なくありません。「なんとなく仕事内容が合わない」など、あいまいな動機だけでは、なかなか部署異動の希望が通らない可能性も大いにあります。
もし部署異動を希望するのであれば、自分の将来設計や実現したいキャリアパスなど、確かな根拠を示すことが大切。例えば「○○の部署で△△の経験を積んで、□□分野で成果を出せるようになりたい」など、どう組織に役立てるのか、明確なメリットを伝えると部署異動にもつながりやすくなります。たとえストレス感によるマイナスな動機だとしても、部署異動によって組織にどのような効果を与えるのか、企業側にとってのメリットに置き換えて提示するのがベストです。
もちろん企業側には、従業員の心身の健康に配慮する義務もありますが、個々の自分本位の要望にその都度対応するわけにもいきません。事業の継続や成長に向けては、適切な人員配置・計画が不可欠です。こうした点を踏まえて部署異動を希望する時には、自分なりに活躍できるビジョンや貢献性などを伝えることで、企業側からの理解も得やすくなります。
落ち着いて論理的に異動したい旨を示す
場合によっては人間関係などのストレスを背景に、部署異動の希望を出すこともあるかもしれませんが、なるべく感情的な伝え方にならないように注意しましょう。愚痴や不満をぶつけるような伝え方をしてしまうと、「苦しいことを乗り越える根気に欠けるのでは」など、自分に非がなくてもマイナス評価になってしまう可能性もあります。先ほども出てきたように、部署異動によって本来の力をもっと発揮できる根拠を明らかにして、いかに合理的なのか示すことが重要です。部署異動の希望を出す時には、自分本位になりすぎないように、冷静に落ち着いて自らの要望を伝えられるようにしましょう。
うつ病などの疾患をともなう際には主治医の指示のしたがう
うつ病などの疾患により、どうしても部署異動が必要となるケースでは、企業側としても従業員の心身状態を考慮した人員配置をしなければなりません。こうした場合には、より適切な判断のもとで療養するためにも、主治医からの所見も含めて希望を出すようにしましょう。また専門家による診断は、部署異動の必要性を示す根拠にもなるので、病院の受診時にあらかじめ指示を仰ぐようにしておくと安心です。
スムーズな部署異動に向けて気を付けておきたいポイント
実際に部署異動の希望が通りそうな時には、今後の業務になるべく支障がないようにするためにも、以下のような部分に注意しておくことも重要です。
異動先の業務内容や雰囲気はあらかじめリサーチしておく
そもそも部署異動によって、ストレス感などの問題を解決するためには、その先でも思うように活躍できるのか見極めることも欠かせません。また異動先に素早く馴染めるようにするためには、あらかじめ自分が働くイメージを持っておくことも重要です。例えばどのような雰囲気の部署なのか周りの仲間に聞いてみたり、社内のマニュアルなどを確認して自己学習したりなど、事前にリサーチしておくのがベスト。きちんと自分なりに心がまえをしておくことで、新たな部署にもスムーズに慣れやすいでしょう。
引き継ぎの準備はしっかりと整えておく
部署が変わるからといって、以前の配属先の仲間との関係性がなくなるわけではありません。今後も同じ社内で活躍するからこそ、後任者への十分な引き継ぎをして、次につながるように準備しておくことも重要です。きちんと後任者が業務で困ることのないように、部署が変わってしまう前に、引き継ぎを完了できるように備えておきましょう。できれば資料やマニュアルを用意しておくと、何か困ったことやわからないことがあった時でも安心です。
こまめなコミュニケーションを心がける
部署異動を通じて、新たな仲間との関係性を築くことで、社内でネットワークを広げられるのも大きな利点です。新しい配属先ではもちろん、異動前の部署内のメンバーとも積極的にコミュニケ―ションを取っておくと、今後に役立つ人脈にできます。何かあった時に協力してもらえたり、相談できたりする可能性も大いにあるため、できるだけ前部署内のメンバーとの関係性も意識しておくのがベストです。
反対に「部署異動がストレスになりそう」な場合はどうする?
ここまでには部署異動がしたいケースに注目して解説してきましたが、場合によってはそれが反対に作用してしまうことも。もし部署異動がストレスになりそうであれば、次のような対処法を検討してみましょう。
断り方次第では拒否できる可能性もある
あらかじめ雇用契約書などで、部署異動の可能性が明示されている時には、基本的にはその指示にしたがうのが原則です。場合によっては、部署異動を拒否してしまうと、業務命令違反とみなされてしまう可能性もあります。
ただし入社や採用の段階で、職種を限定していて部署異動がないものとされているケースでは、労働契約違反として拒否できることもあります。まずは雇用契約書などの労働条件をしっかりと確認し、その内容に違反していないか確認してみましょう。
もしくは例えば「家庭の事情で現状から部署を変えるのが難しい」など、やむを得ない状況では、部署異動を断る正当な理由として認められるパターンも考えられます。どうしても部署異動によって、自分の生活などに支障が出そうな時には、きちんと事情を説明して相談するようにしましょう。
部署内での担当換えを考えてもらう方法も
例えば「現状の働き方や環境は変えたいけれど、部署異動するのは難しい」などの場合、部署内での担当範囲や業務分担を調整してもらう方法もあります。また人間関係などのストレスがある時には、席やフロアを変えてもらうことで軽減されるケースも。もし「現状は打破したいけれど、部署が変わるのは負担になりそう」などの悩みがあれば、その旨を上司などに素直に相談して部署内で調節してもらうことも考えてみましょう。
転職を検討するのも一つの解決策
どうしても希望しない部署異動が発生してしまう時には、転職して心機一転するのもいい方法です。思い切って新たな職場に飛び込むことで、理想の働き方やキャリアパスが叶う可能性も考えられます。現職でのストレスが大きすぎたり、あまりに希望とは異なる勤務形態になったりしそうな時には、転職も選択肢に入れて検討してみましょう。
まとめ
企業として業績向上や成長を目指していくためには、より的確な人員配置が欠かせないこともあり、なかなか希望どおりに部署異動するのは難しい一面があります。とはいえどうしても現状をストレスに感じていて、なおかつ部署異動を希望する正当な理由があれば、配置換えをしてもらえる可能性も十分にあります。部署異動に向けた希望の伝え方や事前準備など、きちんとコツを押さえて対処していくことが重要。部署異動をお考えの際には、ぜひ本記事を参考に、社内で相談してみることをおすすめします。