従来では、企業に出向いて対面で面接するのが一般的でしたが、近年はWeb(オンライン)による手法もどんどん浸透してきています。ただWeb面接の場合、基本的には自宅にいながら選考を受けることになるため、どうしても気が緩んでしまいやすい一面も。しかしオンライン上だと、直接的に顔を合わせるわけではないため、お互いの印象がうまく伝わりづらい部分もあります。こうしたWeb面接だからこそ、より好感を持ってもらえるような対応を心がけることも大切です。そこで今回は、Web面接ならではのマナーや特に気を付けておきたい注意点について解説していきます。
Web(オンライン)でも対面と同じようなマナーで臨むのが基本
対面との大きな違いとして、例えばWeb面接では入退室や着席などの動作はないものの、最初と最後の挨拶や身だしなみなどのマナーは基本的に同じです。ただWeb(オンライン)の場合、カメラを通すことでお互いの表情が読み取りづらかったり、声が届きにくかったりするケースも。そのため実際には対面以上に、相手側からの見え方や伝わり方などを意識する必要があります。
仮に身だしなみの面でいえば、表情が見えやすいように顔に髪がかからないヘアスタイルにしたり、明るく見えるメイクに工夫したりするのがおすすめ。企業側から何か指定されることもありますが、特に指示がなければ、服装は男女ともに上下ビジネススーツが基本です。Web面接だからといって、上半身だけ正装なのはNG。何かの拍子に立ち上がるなど、下半身が見えることもあるので、必ず対面と同じ格好で臨むようにしましょう。ビジネススーツを着用しておくことで、適度な緊張感も生まれるため、きちんとした身なりを整えることも重要です。
Web面接ならではの注意しておきたいポイント
では実際にWeb面接を受けるにあたって、必要な準備や心がまえなど、特に覚えておきたい基本的なポイントを整理していきます。
通信環境や使用するデバイスは事前に要確認
基本中の基本ではありますが、Web面接に欠かせないのが、安定したインターネット環境です。十分なインターネット環境がないと、途中で音声が途切れたり画面が止まったりなど、面接を滞らせてしまうさまざまなトラブルにつながってしまいます。Wi-Fiの接続状況などは、必ず事前に確認しておきましょう。もしスマートフォンを使うのであれば、あらかじめ通信容量が足りそうなのか要チェック。またスマートフォンの場合、面接直前にはしっかりと充電をして、画面を遮らないようにアプリの通知はオフにしておきましょう。
なおパソコンを使用する際にも、面接がスムーズに進むように、通信速度などに問題がないか確かめておきます。例えば無線接続で少し不安を感じるようなら、面接時には有線LANに変えるなど、通信トラブルがないように準備しましょう。
Web面接に必要なツールを忘れずに準備する
パソコンでWeb面接を受ける際には、まずは本体にカメラがあるか確認しましょう。内臓型などでパソコン本体に搭載されていれば問題ありませんが、もし付いていないようなら、別途Webカメラを用意する必要があります。
なおWeb面接では、対面に比べるとお互いの音声が遠くなりやすいため、できればマイク機能のあるイヤホンを準備しておきます。パソコンやスマートフォン本体のスピーカーでも対応できなくはありませんが、やはり音声が安定しやすいのは、マイク機能付きのイヤホンです。またマイク機能付きのイヤホンも、あらかじめ使用感をチェックしておくのがおすすめ。例えば音の聞こえ具合によっては、「なるべく周りのノイズが入らない場所を選んだほうがよさそう」など、できるだけ会話がしやすいように工夫しておくのがベストです。
面接に対応する場所を確保する
Web面接では、画面上の背景に自宅の様子が入ってしまうので、あらかじめ問題なく映し出せる場所を選んでおくことも欠かせません。あまりごちゃごちゃとした生活感が見えてしまうと、相手側としても周りのほうが気になってしまい、会話に集中しづらくなってしまう可能性もあります。Web面接に対応する場所としては、なるべく背景には何も物を置いていない壁を映し出せるような、シンプルですっきりと片付いたスペースを確保するようにしましょう。ちなみにバーチャル背景やぼかし機能は、画質が落ちたり表情がぼやけたりする可能性もあるので、使わないほうが無難。なるべく背景が気になりづらい場所を選んで、Web面接に臨むようにしましょう。
面接時に使用するアプリやURLでの入室方法をチェック
企業ごとにWeb面接に使うアプリは異なるので、あらかじめ共有された案内を確認して、実際の操作方法も把握しておきます。いざ本番になって入室に手間取ってしまうと、開始に間に合わない可能性もあるので、必ず事前にチェックしておきましょう。一般的には、外部参加用のURLやID・パスコードなどが送られてきます。通常であれば、参加用URLにアクセスするだけなら、相手側に通知などが入ることはありません。Web面接前には一度参加用URLにアクセスしておき、入室方法や画面・音声設定なども見ておくと無難でしょう。もし各アプリへのログインが必要そうであれば、自分のアカウントの準備もしておきます。
また普段から使用しているアプリが指定されている場合、自分のプロフィール内容にも要注意。プライベート用のアカウント写真やニックネームなど、ビジネスシーンに適さない内容になっているケースもあります。Web面接の本番前に確認しておき、必要に応じてビジネス用に変更しておきましょう。
カメラでの写り方もあらかじめ見ておく
Web面接では、カメラが暗くなりやすく対面よりも表情が伝わりづらいため、画面の明るさには十分な注意が必要です。窓付近などの採光しやすい場所を選ぶか、場合によっては部屋の照明やスタンドライトなども活用しながら、逆光にならずに映せるようにしましょう。なおカメラの位置は、顔から胸あたりまで映せるように固定。なおカメラの位置が顔より低すぎると、相手を見下ろすような上から目線の姿勢になってしまうので、必ず顔の高さに合わせるようにします。ちなみにスマートフォンを使う際には、本体が安定しにくいので、スタンドなどを使用してしっかりと固定できるのがベストです。
履歴書や職務経歴書などのエントリー書類は用紙で出力
面接までの選考で提出した書類は、用紙でプリントアウトして手元に置いておくと安心でしょう。面接中に確認が必要になるケースも考えられるので、いつでもすぐに内容をチェックできるように用意しておくのが無難。また志望動機や自己PRなど、受け答えする際の参考にできるメモ代わりにもなるので、エントリー書類はあらかじめ自分用にも準備しておくと便利です。
当日までに何分前に入室するのか確認
当然ながら開始時刻に遅れてしまうのはNGなので、スケジュールの事前確認は不可欠。ちなみにWeb面接の場合は、「○分前までに入室してください」など指定されるケースもあるため、必ずどのような指示がされているか把握しておきましょう。ちなみに特に指定がなければ、面接開始の5分ほど前には入室しておくのが無難。開始時刻に入室してしまうと、多少でも相手方を待たせてしまう可能性があります。もちろんオンタイムを指定されていれば、それに従う必要はありますが、何も指示がない時には少し早めに入室できるようにしましょう。
なるべく大きめの声でハキハキと明瞭な話し方を意識する
Web面接ではマイクやスピーカーを通して話すので、どうしても音声が届きづらい一面もあります。そのため対面よりも多少ボリュームアップするくらいの気持ちで、なるべく大きめの声でハキハキと話すようにしましょう。また通信によるタイムラグ出やすいため、相手の質問を聞いてから、少し間を置いて話し出すのがベスト。話すスピードも、ゆっくりめになるように意識するのがおすすめです。オンライン上では、ただでさえ声が聞こえづらくなりやすいのに加えて、緊張するとどうしても早口になりがちです。まずはしっかりと相手に伝えることを重視して、はっきりと聞こえやすい話し方を心がけましょう。さらに身振り手振りや頷きなどのリアクションも、大げさなくらいのほうが画面上では映えやすくなります。ちなみに目線も、相手の顔が映っている画面ではなく、カメラに向けるのが基本。カメラ目線にしておくと、視線が下がらずに相手の目を見て話しているような形になるため、好印象を残しやすくなります。
面接中にカンペを使うのはNG
Web面接では、対面ではないためカンペを使う方法も考えられますが、できれば避けたほうがよいでしょう。例えば手元にカンペがあると、視線が下がって相手と目が合わなくなり、印象が悪くなってしまいます。Web面接では、しっかりとカメラ目線で話すことも大切ですし、明らかに何かを読み上げている様子が見られるのもあまり好感は持てません。ある程度の質問内容を考えて、回答をイメージしておくのも重要ですが、やはり対面と同様に受け答えするのがベスト。たとえカンペがあっても、必ずしも想定どおりにいくとは限らないので、なるべく臨機応変に対応できるように準備しておきましょう。
急なトラブル時にはすぐにでも別の連絡手段で対応
しっかりと事前準備はしていても、例えばアプリの不具合など、急なトラブルが発生する可能性はあります。場合によっては、相手方の通信状況などが原因で、何かしらのトラブルが起きるケースも。画面が止まった・音声が聞こえないなど、問題が発生している際には、すぐにでも先方に伝えるようにしましょう。例えばWeb面接で使っているアプリのチャット機能を使用したり、面接担当者に電話で直接連絡したりなど。もしくは、担当部署に連絡をして取り次いでもらうなどの方法も考えられます。状況に応じて、すばやく別の連絡手段で対応できるように用意しておくのがベストです。
企業側の退室を待ってから接続を切るのが基本
面接が終わったら、特に指示がなければ、相手が退室してから通信を切るようにします。なお「退室をお願いします」などのように、接続オフを促されることもあるため、そうした場合にはお礼の挨拶をしてすみやかに切るようにしましょう。Web面接も対面と同様に、最後の最後まで、先方に失礼のないようなマナーを意識することが大切です。
まとめ
Web面接では、対面とは異なり、カメラを通して自分をアピールしなければなりません。対面であれば、その場の空気感などで伝わるものがあっても、Web面接ではなかなか本来の自分が出せないケースも。とはいえ、今回ご紹介したようなポイントを意識することで好感を持ってもらいやすく、面接もスムーズに進みやすくなります。少し戸惑う部分もあるかもしれませんが、きちんと心がまえさえしておけば、対面と同じような力を発揮できるでしょう。ぜひ本記事を参考に、より好印象を残せるようなWeb面接に向けて備えておきましょう。