
仕事や人生に対する価値観が多様化し、個人それぞれが、自分自身にとってベストな働き方を選ぶことも重視されやすくなっている昨今。プライベートも存分に充実できる勤務スタイルを叶えるには、やはり十分に休みを確保できる労働環境が欠かせません。そして、こうしたワーク・ライフ・バランスを実現できる職場なのか判断する材料として、注目したいのが「年間休日数」です。近年では、休みの多さを推測する目安として、「年間休日120日」を基準にする認識も広まってきています。ではそこから、さらに休みが多くなると予想される「年間休日130日」になった場合、実際にどのような働き方ができるのか気になるかもしれません。そこで今回は、「年間休日130日」で想定される、具体的な休み方について解説。加えて、その年間休日数に見合った働き方ができる職場なのか、正しく見極めるためのコツもご紹介します。
「年間休日130日以上」は貴重!その割合は?

転職サイトや求人広告などを目にするなかで、実際のところ、「年間休日130日以上」としているケースを見かけるのは珍しいかもしれまん。その実態として厚生労働省の調査(※1)によれば、年間休日130日以上となる企業は、国内全体のうち2%。年間休日130日以上を設定している企業は、まだ非常に少ないのが現状です。ちなみに年間休日130日以上とする企業がどれくらい存在するのか、組織規模別に分けて見てみると、次のような結果となっています。
【年間休日130日以上の企業比率】
- 1,000人以上:1.5%
- 300人~999人:1.4%
- 100人~299人:2.1%
- 30人~99人:2.1%
意外かもしれませんが、上記のデータでは「30人~299人」となる比較的規模の小さい企業で、年間休日130日以上としている割合が高くなっています。なお小規模な企業のなかには、ベンチャーやスタートアップなど、先進的なビジネスモデルや価値観を持つ会社も多々見られます。こうした企業では、従業員の働き方に対しても、次世代的な考え方をしている場合も多くあります。そこで新時代に合った勤務スタイルとして、年間休日130日以上とするパターンもあるのかもしれません。
一般的には「年間休日120日~129日」とする企業が多い
前述にもあるように、年間休日130日以上とする企業は少数派です。その反対に、多数派となっているのは、「年間休日120日~129日」としているケース。実際に、年間休日120日以上としている企業は、以下のような割合で存在しています。(※1)
【年間休日120日~129日の企業比率】
- 1,000人以上:56.3%
- 300人~999人:49.7%
- 100人~299人:43.8%
- 30人~99人:33.3%
上記のデータでは、「300名以上」となる比較的規模の大きい企業では、半数近くが「年間休日120日以上」としています。また300名未満の中小規模でも、「年間休日120日以上」とする企業比率がもっとも高くなっています。やはり一般的な認識として、「年間休日120日」が大きな基準になっているといえます。
「年間休日130日以上」ではどれくらい休める?

年間休日130日以上になると、なんとなく休みが多くなるイメージは湧くかもしれませんが、実際にどのような勤務スタイルになるのか想像しにくいかもしれません。ではここからは、どのような休み方ができるのか、具体的な数字で計算しながら見ていきましょう。
労働基準法にもとづく最低ラインは「年間休日105日」
労働基準法では、従業員にとっての健全な職場環境を守る目的から、実働時間として設定できるのは「週40時間・1日8時間」を上限とするのが原則です。こうした法律上の規定から考えてみると、少なくとも「年間休日105日」は確保されるのが基本となります。実際に計算してみると、次のように考えられます。
365日÷7日間(1週間)=約52週(年間あたりのおおよその週数)
約52週×40時間(法律上の実働上限)=約2,080時間(年間ごとの総労働時間)
約2,080時間÷8時間(1日ごとの実働上限)=約260日(年間で勤務できる日数)
365日-260日=約105日(年間休日の最低基準)
なお業種などによっては、年間休日105日未満となるケースも見られますが、必ずしも違法ではありません。例えば、月間や年間の総労働時間から平均して「週40時間以内」とする、変形労働時間制による例外的な勤務形態を導入しているパターンです。ちなみに変形労働時間制では、日によって「1日3時間」「1日10時間」などの変則的なシフトになりやすく、実働に合わせると年間休日数自体は減る場合もあります。
「年間休日130日以上」ではプラスアルファの休みが多くなる
先ほど算出したように、週40時間(=1日実働8時間×5日)で勤務する場合、年間休日数は105日。つまり毎週必ず2日休みがあるだけでも、合計して年間休日105日になるので、例えば月ごとの土日休みだけで法律上の最低基準になります。そのため年間休日105日では、毎月の「完全週休2日」のみ、または「週休2日+別途公休」といった勤務形態が考えられます。
そこから「年間休日120日」に増えると、仮に「完全週休2日」であれば、15日分はさらに上乗せして休むことができます。そうなると「年間休日120日」では、「完全週休2日」に加えて、祝日もしくは季節ごとの連休なども取得できる計算になります。ちなみに政府が定める「国民の祝日」は、年間にして18日(2026年時点)(※2)。もし「完全週休2日」で、すべての祝日も公休とされるなら、年間休日数は123日となります。
そして「年間休日130日」になると、「年間休日120日」より追加して、10日分さらに休むことができます。大まかに整理してみると、次のようなイメージで休みを取ることも可能です。
【パターンA】
完全週休2日(年間105日)
+祝日(約18日)
+残日数(約7日=GW・お盆・年末年始などの連休)
=年間休日130日
【パターンB】
月9日~10日休み(年間112日)
※月9日休み×8ヶ月+月10日休み×4ヶ月
+祝日(約18日)
=年間休日130日
このように「年間休日130日」では、一般的な公休からプラスアルファして、休みを取れるようになります。また上記にあるうち、パターンBのような休日設定では、祝日も含めて毎月2回~3回ほど三連休ができる勤務形態も想定されます。こうして年間休日130日以上では、しっかりとリフレッシュした働き方ができる特徴があります。
その年間休日数は本当?嘘?求人情報を正しく見極めるポイント

ここまでに見てきたように、年間休日130日以上が設定されていると、従来の一般的な働き方に比べてかなり休みは多くなります・ワーク・ライフ・バランスを重視したい場合には、年間休日130日以上となるのは大きな魅力ですが、求人情報として見る際には注意が必要。例えば転職サイトや採用ページでは、人材を集めるためのアピールポイントとして、「年間休日130日」を打ち出しているケースも少なからずあります。本来の実態としては、前述のような年間休日130日以上の勤務形態とは、大きく異なる可能性も考えられます。そこで以下からは、求人情報を正しく見極めるコツとして、知っておきたいポイントもご紹介していきます。
有給休暇の日数分が含まれていないか
求人情報として、年間休日を提示する際には、有給休暇を除いた日数を明記するのが原則です。なかには有給休暇のうち、企業側の指定で消化を義務付ける「計画年休」を取り入れているケースもありますが、これらも年間休日数に含めることはできません。
そもそも労働基準法では、休日の定義として、「雇用契約上における労働義務がない日」としています。一方で計画年休を含めた有給休暇は、賃金を確保しながら労働義務から離れられる権利を与えられる日であり、通常の休日とは厳密には意味が異なります。
また基本的に有給休暇は、年間での取得日数が個人ごとに変わってくるため、年間休日数に含めた表記はしにくいのが一般的です。そのため仮に、「年間休日130日以上(有給休暇を含む)」などの記載がされているケースでは、想定どおりの休み方はできない可能性が高いといえます。
例えば毎月の公休がどれくらいあるのか、所定の連休はあるのかなど、細かな休日設定まで十分に把握しておくことが重要です。
勤務先全体としての公休や定休日になっているか
各企業の基本的な基準として、年間休日130日以上としているものの、いざ勤務してみるとその日数を満たすほどの休みはないケースもあります。なかには有給休暇とは別に、例えば夏季や冬季など、本人の任意で特別休暇を取得できる制度にしている企業もあります。このように個人の裁量で休める日数が含まれていると、必ずしも年間休日130日が取れるとはいいきれません。
もしくは配属部署や担当業務によって、勤務形態が大きく異なっており、社内の所属先次第では年間休日130日にならない場合も。よくあるのは、「“平均”年間休日130日以上」と表記しているパターンです。もちろん年間休日130日以上になる可能性もありますが、明確な判断はできないので注意しましょう。
いずれにしても社内のルールとして、全員が統一的に、年間休日130日になるのか確認することも大切です。個人ごとに設定する公休や、もしくは勤務先として定休日とするものを合算して、年間休日130日になりそうなのか十分にチェックしましょう。
年間休日数以外の条件も十分にチェックする
その会社の体裁として、「年間休日130日以上」と提示しているものの、実際には休日出勤や残業が多いケースも少なからずあります。公休の名目上では、「年間休日130日以上」であったとしても、実態としてはかなり厳しい労働環境となっているパターンです。社内のルール的には、「年間休日130日以上」であったとしても、うまく運用できていない可能性も考えられます。なかなか判断は難しいかもしれませんが、求人情報だけでなく、口コミやSNSなども調べて参考にしてみるのがおすすめです。
また時間外労働に関する明記がない場合に、「固定残業代(みなし残業手当)」が付いているパターンには要注意。「固定残業代(みなし残業手当)」とは、実働量に関わらず、基本給に一定時間数分の残業代を含めた給与形態となります。例えば「残業月○時間以下」などの情報がなく、「固定残業代(みなし残業手当)」が付いている際には、実態としてその時間数分は時間外労働が発生している可能性も。単純な年間休日数だけに注目するのではなく、その他の勤務条件なども細かく確認したうえで、想定どおりの休み方ができそうなのか見極めることも重要です。
まとめ
年間休日130日以上になると、一般的な週休2日に加えて、豊富に休みが取れる働き方が担保されることになります。なお年間休日130日以上が確保される場合、企業によって設定の仕方は異なりますが、連休が多めに取りやすくなる可能性もあります。また「年間休日130日」のような好条件の求人では、その魅力だけに注目しがちですが、応募する際には慎重に情報を見極めることも重要。場合によっては、自分の思うような働き方はしにくいケースも少なからずあります。できるだけ休みが多くなりやすい勤務スタイルにしたい時には、ぜひ本記事も参考に、自身の理想的な職場探しをしてみてください。